衆院厚生労働委員会での25日の総理。民進党の柚木道義議員が「今日、強行採決は行わないと約束してください」と求めたのに対し、安倍晋三総理は国会議員への答弁を通して審議する法案の中身や政策を『国民に周知する』努力を諦めたかのような答弁を行った。
「わたしが述べたことを全くご理解頂いていないようであれば(審議を)何時間やっても同じですよ」。
公的年金の支給額を引き下げる新ルールを盛り込んだ年金制度改革法案の審議での話。政府の提案する改革法案の提起に少子高齢化が続く中で年金制度を安定的に継続させるためにはそれぞれの年代の層が、それぞれ痛み分けをしなければならないのだろうと多くの国民は感じていると思う。
それでも、高齢者で年金収入が生活収入のすべてなのだという方たちにとって暮らしに直結する深刻な問題であることを考えれば、TPPの審議にも求められる「丁寧に、分かり易く、真摯に説明していくこと」が必要だ。くどい程でも、説明を尽くす誠実さが必要だろう。
「何時間やっても同じですよ」と答弁した時点で、審議は終了してしまう。結論ありき。結局、25日の委員会は騒然とする中、与党の多数で法案は可決した。
年金法案に関わらず、TPPについても、政府・与党はどうでも今国会で成立を目指している。衆参で圧倒的多数を占める与党、そして自民党のないでは「安倍一強」の中で、総理の意向通り、法案は通るだろう。それだけに、成立させるまでの過程において、より丁寧な説明が国民に対し、国会審議を通して行うことが必要なのだ。
国会会期の延長が検討されているが、党利党略でなく、審議を通して国民に理解しやすい説明を行うための会期延長をしてほしいと願う。結論ありきの国会運営や審議は回避願いたい。合わせて、これまでにもコラム欄で書いてきたが、1月当初に衆院は解散すべきでない。国会運営同様に、国民は「党利党略の選挙は望んでいない」。また、国会審議の答弁に「何時間やっても同じですよ」は禁句だ。国民のために、審議を放棄してはならない。(編集担当:森高龍二)