モバイルデータ通信は、3GからLTEといった4Gが主流となり、次世代技術としての5Gも登場、年々通信が高速化している。そんななか、現時点での混雑時におけるキャリア間通信速度の違いが、総合マーケティング支援を行うネオマーケティングの実施した調査で明らかになった。同調査では10月1日から18日間、全国の主要混雑エリア40地点においてキャリアごとに通信速度の計測(iPhone7、15台同時接続)を実施した。結果としては総合的には中央値で下り上り共にソフトバンクが、最小値も下り上り共にソフトバンクが優勢となった。最大値では下りでauが、上りでソフトバンクが優勢となった。
乗降客数上位駅では中央値、最小値で下り上り共にソフトバンクが、最大値は下りでau、上りでソフトバンクが優勢となった。中央値の優勢地点数でも下り上り共にソフトバンクが最多となった。また、主要な待ち合わせスポットでは中央値で下り上り共にソフトバンク、最小値は下りでdocomo、上りでソフトバンク、最大値では下りでau、上りでソフトバンクが優勢となった。中央値の優勢地点数では、下りはauとソフトバンクが4地点、上りはソフトバンクが9地点となった。主要な観光地・繁華街での中央値では中央値、最小値は下り上り共にソフトバンク、最大値は下りでdocomo、上りでソフトバンクが優勢となった。中央値の優勢地点数では、下り上り共にソフトバンクが最多となった。
総合の中央値でみても下りでソフトバンクが10.70Mbps、docomoが7.77Mbps、auが8.29Mbps、上りでソフトバンクが5.67Mbps、docomoが4.18Mbps、auが2.24Mbpsとなり、ソフトバンクが他キャリアを引き離している。これは9月16日からソフトバンクで開始された、ひとりひとりに電波を割り当てる「Massive MIMO」の影響が大きいとみられる。Massive MIMOに関してはdocomoでも実証実験が行われており、11月16日には時速150kmで高速移動する自動車に搭載した端末に対して、Massive MIMOの特長である電波の放射エリアを特定方向へ集中させるビームフォーミング機能と、高速移動する端末の動きに合わせて電波の放射方向を制御するビーム追従機能を用いて、2.5Gbpsを超える無線データ伝送に成功している。
5Gの技術であるMIMOは送信・受信アンテナを増やすことでのアンテナ間干渉によるパフォーマンスの低下が弱点となっているが、これを低減してさらにモバイルデータ通信速度を3倍にする「Mega MIMO 2.0」といった新技術もすでに登場しており、キャリア間の通信速度競争は5Gの普及に伴い激化すると見込まれる。(編集担当:久保田雄城)