音により状況を認識する「音状況認識技術」とは NECが開発

2016年12月03日 19:53

 昨今、安全・安心に向けた取り組みとして、カメラ映像だけでは見えにくい場所でも、音により起きている状況を認識できる技術の開発が進められている。従来の技術は、個々の環境で目的音を大量に学習することで検知を行っていた。しかし、広い範囲から目的音を検知する際、多くの環境雑音が混入するため、遠くで発生した小さな目的音の検知感度が低下したり、目的音を個々の環境ごとに学習させる必要があるなど、未知の環境への導入が難しいといった課題があった。

 これを受け、NEC<6701>は、同社の最先端AI技術群「NEC the WISE」の1つとして、音により今起きている状況を認識できる「音状況認識技術」を開発した。

 今回開発した「音状況認識技術」は、マイクで収集した音から未知の環境雑音を分けて環境によらない構成音を高感度に検知し、構成音の組み合わせパターンから事象の有無を高精度に判別することで、これらの課題を解決する技術だという。これにより、判別したいくつかの事象から起きている状況までの認識が可能だとしている。

 例えば、「ガラスが割れた」という事象で発生する音の場合、「ガシャン」「バリン」「パリン」など、環境によって音が変わる。構成音抽出技術は、マイクで収集した音を、あらかじめ学習していた音の成分は「ガ」や「シャ」、「バ」や「パ」など環境の違いに影響しない細かな構成音に分け、学習させていない未知の音の成分は環境雑音に分けることで、環境雑音の影響を受けることなく、高精度な構成音の抽出を実現した。

 また、事象判別技術は、環境の違いに影響しない構成音「ガ」や「シャ」、「バ」や「パ」などの組み合わせを事象パターンとしてあらかじめ学習し、構成音抽出技術で高精度に抽出した構成音と照合することで、目的とする事象の有無を判別する。

 これらにより、環境雑音が多く存在する広い範囲でも、小さな音を逃さず高感度に検知できるとともに、目的音を環境ごとに学習させる必要がなく、未知の環境への容易な導入が可能であるという。(編集担当:慶尾六郎)