医薬品ネット販売 幅広い意見集約で新ルール

2013年02月12日 18:49

 「できるだけ早くルールづくりをしなければならない。今言えることはそれだけ。兎に角、急ぎます」。厚生労働省は一般用医薬品でも特に副作用の危険度が高い第1類医薬品や第2類医薬品が最高裁の判決で事実上、ネット販売が自由になっている状況を是正するためのルール作りに急いでいる。

 医薬品は身体に直接作用するものであることから製造過程から流通段階まで安全性を確保するための規制が行われている。特に、流通でのルールが副作用分類や販売者に対する規制だ。

 流通では医薬品の副作用リスクを3段階に分類し、危険度の高い第1類は薬剤師以外は扱えないこととした。第2類と第3類については薬剤師と登録販売者が扱うことができる。販売時には第1類については副作用などのリスク説明など商品に対する説明義務を課している。

 厚生労働省はこうしたルールを定める中で、ネット販売については経時変化や副作用リスクの比較的低い第3類のみを認めてきた。

 これに対し、インターネットでの医薬品販売業者が郵便などでの販売を行う権利確認を求めて平成21年5月25日に提訴。1審、2審を経て、平成24年5月9日に国が上告したのを受け、今年1月11日に最高裁は「省令で一律に第1類、第2類の医薬品の郵便などでの販売を禁止しているのは、薬事法の委任の範囲内と認めることはできない」との判決を下し、業者に販売の権利を認めた。このため、現在は第1類医薬品もネット販売されている。

 厚生労働省では医薬品利用者の安全性確保を図るため医薬品は「対面販売が原則」としており、そうした中での最高裁判決だっただけに、ネット販売業者や第2類の医薬品の多い漢方薬業界からの参加も得て、チェーンドラッグストア業界、医師会、登録販売者業界、消費者団体、大学教授など幅広い意見を集約しての新しいルール作りに取り組むことになった。

 そのため、こうした層の代表者ら18人からなる検討会(座長・遠藤久夫学習院大学経済学部教授)を立ち上げ、14日に初会合を開く。

 厚生労働省では最高裁の判決を踏まえて「第1類、第2類を一律に禁止することは薬事法の委任の範囲内と認めていない」とすれば、1類、2類のうち、一定の条件の下で通販を認めるものと認めないものに分類することは可能なのか、省令でのルール作りではなく、薬事法の改正を持って合理的な規制を行うべきなのかも含め、それぞれの立場から議論し、検討会としての結論を得てほしいと期待している。省令であれば検討会でのとりまとめから比較的早い時期に新ルールが実施されそうだが、薬事法改正になればルール施行まで若干時間がかかりそうだ。(編集担当:森高龍二)