11月の「チャイナリスク」関連倒産は前年同月比116.6%増の13件 前年同月から倍増

2016年12月15日 08:41

 東京商工リサーチによると、11月の「チャイナリスク」関連倒産は13件(前年同月比116.6%増)で、前年同月から倍増した。負債総額も69億6,200万円(同321.1%増)と、大幅に増加した。

 2016年1-11月累計は103件で、2015年の年間件数101件をすでに上回った。調査を開始した2014年以降で最多だった2015年を上回り、最多記録の更新を続けているという。

 1-11月累計の負債総額は698億1,400万円(前年同期比69.7%減)にとどまった。2015年9月に第一中央汽船が民事再生法の適用を申請したが、2016年はこれに匹敵する負債額の倒産はなく、2016年の負債総額は低水準で推移している。なお、倒産に集計されないが事業停止や破産準備中などの「実質破綻」は、11月は2件発生した(前年同月は1件)。

 2016年1-11月累計の「チャイナリスク」関連倒産は103件で、2015年に記録した年間101件を上回り、2014年に本調査を開始して以降の最多記録を更新中だという。

 要因別では、「コスト高」が64件で最も多い。一部の日系企業は、豊富で安価な労働力に魅力を感じ生産拠点の中国移転や現地調達比率を高めることで、収益力を高めてきた。だが、最近の中国国内の人件費高騰や為替変動で計画通りに採算を確保できず、苦慮する日系企業が増加している。

 「中国景気減速」は7件で、前年同期の4件からほぼ倍増した。内需不振を外需の伸び、とりわけ中国向け販売でカバーする戦略を採ってきた日系企業も少なくないが、改めて内需掘り起しや中国以外の海外展開が必要になっている。

 産業別では、最多は卸売業の58件(構成比56.3%)、次いで製造業の32件(同31.0%)で、この2産業で全体の約9割(同87.3%)を占め、中国への製造依存の高さを示している。

 産業を細分化した業種別では、「繊維・衣服等卸売業」、「繊維工業」、「なめし革・同製品・毛皮製造業」など、アパレル関連が51件(構成比49.5%)と全体の半数を占めている。

 チャイナリスクの日系企業への影響はまだ沈静化していないだけに、当面はアパレル関連業種を中心に月10件前後のペースで発生する可能性が高いとしている。(編集担当:慶尾六郎)