東京エレクトロン、日立ハイテクがAI活用で半導体製造の生産性向上へ

2016年12月17日 19:19

 IoTの普及により、半導体市場の拡大が見込まれている。半導体調査会社の米IC Insightsは2016年の世界半導体市場予測を前年比1%減から2%増に上方修正している。世界半導体市場統計(WSTS)による秋季の市場予測でも16年は前年比0.1%減とするも、春季予測の同2.4%減と比較するとかなりよくなっており、さらに17年で同3.3%増、18年では同2.3%増との成長予測を打ち出している。

 IoTデバイスは品種が増大し半導体需要は拡大するものの、大量生産ではなく多品種のデバイス生産に適した直径200ミリメートルウエハー対応装置を中心に需要が急増すると見込まれるとのこと。また、IoT向けの半導体では先端技術活用のものよりも安価なものに対するニーズが高く利幅が薄いといった傾向がある。こうしたことを背景に、半導体メーカー各社は、ITや人工知能(AI)を活用した半導体製造装置の生産性向上に注力している。

 東京エレクトロンは19年度までに自己診断機能や学習機能を装置に搭載。同社の展開する半導体工場の稼働状況遠隔監視サービス「テレメトリックス」と併せて半導体工場の安定稼働を支援する。日立ハイテクノロジーズもネットワーク接続による稼働状況及び製造条件の遠隔管理サービスに関しての実証試験を開始。18年度までに一部事業化を計画している。日立国際電気はAI技術を活用した成膜装置の開発に着手。ウエハー上の膜の性能変化などの把握による生産性向上や予防保全を実現し、2~3年後には実用化を目指すとのこと。
 
 世界市場が好調な半導体の製造だが、国内に目を移せば円ベースで前年比8.9%減となっている(WSTSによる16年秋季の市場予測)。17年も同1.9%減となり増加に転じるのは18年となりそうだ。為替レートの変動の影響によるところも大きいが、こうしたリクス因子も考慮した戦略の展開が不可欠だ。東京エレクトロンなどは、17年から18年にかけて市場拡大が有力視される中国展開も視野に入れた戦略により、事業力強化を図っている。半導体製造のトレンド変化は早く、時代に合わせた事業体制構築や技術革新を継続していくことがメーカー生き残りのカギとなる。(編集担当:久保田雄城)