2017年はスマートメータ市場が拡大か? 無線ネットワークを支える日本の技術

2017年01月02日 14:24

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2016年は、およそ60年ぶりに電力システムの改革が行われ、電力小売の全面自由化がスタートした。この電力自由化も自動検針や電気使用量を可視化するスマートメータ普及の追い風になっていることはいうまでもない

 今、世界中で電気使用量が”見える化”できるスマートメータの採用が加速している。日本も関西電力をはじめ、東京電力 が、2014年頃からすでに電力のスマート化にむけて動き出しており、電力各社は今後、10年程度の期間を目途に、日本国内の7000万台超を、従来の機械式電力量計からスマートメータに交換する計画を進めている。

 2016年は、およそ60年ぶりに電力システムの改革が行われ、電力小売の全面自由化がスタートした。この電力自由化も自動検針や電気使用量を可視化するスマートメータ普及の追い風になっていることはいうまでもない。スマートメータで全国トップシェアを誇る大崎電気工業 でも、15年度から17年度にかけて大幅増産の計画で臨んでおり、急激な需要の増加に対応しているという。

 そもそも、「スマートメータ」とは何だろう?

 スマートメータは通信機能を備えたデジタル式の電力計で、30分ごとに電力データを記録して、電気の使用状況が詳細に把握(見える化)できる上、通信機能を搭載しているので、各電力会社の検針作業も自動化できる。さらに、家庭のHEMSへのデータ送信も可能だ。個々の家庭の節電などに役立てるだけでなく、電力の使用状況をほぼリアルタイムで計測することで、配電システムの最適化や高機能化、顧客サービスの充実、現場作業の効率化などにも貢献する。

 また、電気だけでなく、ガスや水道におけるスマートメータ化も進み始めている。2016年7月には、米国ノースカロライナ州に本拠を置くスマートメータの大手企業・米Sensusの日本法人センサスジャパンが、同社の水道スマートメータ「iPERL(アイパール)」が、産業技術総合研究所より型式承認を取得したと発表。日本国内での販売及び水道市場に本格的に参入する動きを見せている

 一方、日本企業も世界のスマートメータ市場に向けて意欲的な動きを見せている。例えば16年12月、無線通信の技術に定評がある電子部品大手のロームのグループ会社であるラピスセミコンダクタが、世界各国のSub-GHz(サブギガ)帯域をカバーする無線通信LSI「ML7345」を発表している。同製品は、160MHzから 960MHz の周波数帯域をサポートしており、日本国内の ARIB STD-T108規格の他、世界規格の IEEE802.15.4g にも準拠しているため、世界主要各国のスマートメータやエネルギーマネージメントシステム(EMS) など幅広い分野に応用できる。また、周波帯域だけでなく、業界トップクラスの無線性能と環境安定性を実現し、中継器削減など複雑な無線ネットワークの簡素化、高信頼化に貢献するという。長期間スマートメータ使用する上で待機時の消費電力を大幅に低減できたことも強みのひとつであろう。

 製品の性能はもとより、サブギガの主要な帯域をこの1つの製品で対応できることは、これからのスマートメータ市場では、かなり有効なアドバンテージになるのではないだろうか。日本の技術が世界の無線ネットワーク構築に大きな力を発揮しそうだ。(編集担当:藤原伊織)