【2017年展望】 拡大するLCC 専用ターミナルも整備 外資系も次々強化

2017年01月02日 19:20

画・【2017年展望】 拡大するLCC 専用ターミナルも整備 外資系も次々強化

路線規模を拡大するLCC。今後各空港にも専用ターミナルが整備されるなど、インフラも整いますます普及を続けていくだろう。更に外資系のLCCも続々と日本に参入。安く空の旅を楽しめるのは有り難い。

 今や国内の航空旅客の10%がLCCを利用している。2016年は主要LCCであるジェットスター・ジャパン、ピーチ・アビエーション、が黒字に転じ、路線拡大や他社と業務提携を結び、新しい顧客価値の創造を行うなど、ますますLCCが勢いを増した年でもあった。17年もLCCの勢いは衰えることはないだろう。

 ジェットスター・ジャパンは現在20機の機材を保有しているが、今後の戦略として19年までに28機に増やすことを計画している。ピーチ・アビエーションは21機の機材を保有しているが、20年までに35機以上、将来的には100機以上の機材を保有することを計画しており、特に経済的に優れているエアバス社の最新機「A320neo」を発注し、運航コストの最適化を更に図っていく。両社とも機材を更に増やし、運行体制を強化していく方向だ。

 路線網も強化。ジェットスター・ジャパンは、今後国内線はもとより、中国をはじめ、日本からの訪問、訪日客の両方の需要が高いアジア近距離路線を拡大していく方針だ。同社では17年1月に成田-上海線を開設する予定。同路線をLCCが運航するのは初めて。一方ピーチ・アビエーションは現在週5往復運航している羽田-上海線を17年3月に週7往復へ増便することを目指している。バニラエアも成田-セブ線を12月25日から運航を開始。各航空会社とも需要が高い近距離国際線を拡大していく方針だ。

 LCCが拡大する一方、空港も受け入れ体制を強化。成田空港は15年にLCC専用ターミナルを15年4月8日に開設。一周年を迎えた16年4月には当初550万人を見込んでいた利用客が訪日需要の伸びで600万人を越えた。ターミナル間を結ぶ連絡バスも10月には所要時間を短縮して、運航頻度を上げるなど、増加の一途を辿るLCC利用客の更なる利便性確保に努めている。

 関西国際空港では17年1月28日にLCC専用ターミナルを開業する予定。ピーチ・アビエーションと春秋航空が乗り入れる。12年に解説された第2ターミナルを拡張する形で、広さはこれまでの2倍となる。また保安検査場に最新機器を導入して、待ち時間を3分の2にするなど、利用客の利便性を図る。

 中部国際空港には17年度政府から24億円の予算が計上され、今後LCCの深夜便に対応するため完全24時間化や、LCC専用ターミナルの開設が計画されている。こうした空港の受け入れ体制の整備も今後LCCにとっては更なる追い風となるだろう。

 今後、LCCの競争はどんどん激化することが予想される。従来国内で競争を繰り広げていた航空会社に加え、海外の航空会社も次々に日本へ参入しているからだ。例えば韓国系のLCCの日本発着便数はこの2年間で約3倍にも増えた。特にチェジュ航空は1年で日韓路線を倍増させ、「日韓路線は大韓航空やJALではなく、LCCが中心になる」と豪語するほど。

 上海に拠点を置く春秋航空も中国からの訪日需要を取り込むために路線を強化。春節を前に17年1月から成田-関西線を1日1往復から2往復へ増便する。同社では22年をめどに中国の訪日客を現在の2.3倍の125万人に引き上げること目指しており、日中路線を40路線に増やし、機材も100機まで拡大する方針だ。

 国内外の航空会社の国際線を中心とした路線網強化、機材の増強、そして空港のターミナル整備によって、今後ますますLCCが普及し、利用客にとって利便性が向上していくことは間違いないだろう。空の旅が身近になり、海外旅行も気軽に行きやすくなり、今後ますますの発展が楽しみだ。(編集担当:久保田雄城)