オシレーター系指標は、週間騰落が339円高でその前の週の313円安と「いってこい」だったので、12月30日は1個点灯していた「売られすぎ」シグナルが消え、それに代わって「買われすぎ」シグナルが2個点灯した。その一つ、ストキャスティクス(9日・Fast/%D)は、12月22日は「買われすぎ」だったが、12月30日は「売られすぎ」になり、1月6日は86.2で買われすぎ基準の70を上回って再び「買われすぎ」になるという激変ぶり。もう一つは25日騰落レシオで、125.1で買われすぎ基準の120を少しオーバーした。
サイコロジカルラインは3勝9敗の25.0%で、意外にも「売られすぎ」ボーダーライン上にあるが、9敗のうちマイナス幅50円以下の「惜敗」が5個もあるので、それを割り引いて考える必要がある。それ以外の指標は、25日移動平均乖離率は+1.9%、RSI(相対力指数)は57.9、RCI(順位相関指数)は+23.1、ボリュームレシオは39.6だった。総じて言えば、オシレーター系指標は少し「買われすぎ」に寄っており、上値追いがやりにくいことを示している。
昨年12月30日の大納会時点の需給データは、信用買い残は12月22日時点から288億円減の2兆938億円で5週ぶりの減少。信用倍率(貸借倍率)は2.19倍から2.36倍へ2週連続の増加。信用評価損益率は-9.06から-8.54へ3週ぶりに0.52ポイント改善した。裁定買い残は1260億円増の2兆612億円で3週連続で増加している。なお、12月26~30日の投資主体別株式売買動向は未発表で、1月10日に発表される。
前週3日間のカラ売り比率は、1月4日が36.5%、5日が36.0%、6日が36.6%。昨年末12月29日に40%を超えたが、年が明けると40%を一度も超えていない。マーケットのリスクオン/オフを示す日経平均VI(ボラティリティー・インデックス)の1月6日終値は19.96で、12月30日終値の21.17から1.21ポイントも下落した。けっこう波乱があった日経平均の値動きをよそに、日経平均VIのほうは年明け、徐々に下がって着実にリスクオンしていた。
1月6日に発表された12月のアメリカの雇用統計は、非農業部門雇用者数の伸びは15.6万人で、2ヵ月ぶりの20万人割れで市場予測の18万人を下回った。完全失業率は4.7%で11月から0.1ポイント悪化。ところが平均時給は2.9%増で、伸び率は2009年6月以来7年半ぶりの高い伸び。今年中に3回の利上げを予定しているFRBにとっては決して悪くはないデータだった。判断に迷ったのか為替市場は最初乱高下したが、平均時給を評価してすぐにドル高円安に振れてドル円は117円台に乗せた。
ユーロ圏小売売上高は-0.4%だったがヨーロッパ市場は揃って小幅高。NYダウはフロリダ州の空港での銃乱射事件発生と、複数の連銀総裁が利上げに肯定的な発言をしたために一時下落したが、改めて高値追いし2万ドルの大台まであと37セントに迫るものの達成はおあずけ。終値は64ドル高で、ザラ場でも終値でも史上最高値を更新した。NASDAQも史上最高値更新。アメリカの貿易赤字は+6.8%で2ヵ月連続拡大し、製造業新規受注は-2.4%と悪かったが、雇用統計の前にはかすむ。原油先物は続伸、金先物は下落。NY時間終了時点のドル円は117円近辺、ユーロ円は123円台前半。大阪先物夜間取引終値は19600円、CME先物清算値は19585円だった。
今週の上値のメドは、アメリカ雇用統計を好感して10日の東京外為市場でドル円が117円台に乗せたとしても、テクニカル指標が揃って「上値追いは限定的」を示しているため、ボリンジャーバンドの+1σの19519円、前週5日のザラ場高値=昨年来高値の19615円を超えて19700円あたりまで届いても、それが限界とみる。最低でもドル円レートが118円台に乗せない限りは、日経平均の19800円、19900円、2万円への高値追いは望めないだろう。
一方、下値のメドは、6日終値から364円下にある25日移動平均線の19090円を重視したい。今週の日経平均が、為替のドル円が調整局面を迎えて115円を割り込み114円台をつけたり、SQ週の「鬼門」の10日、11日に先物主導でドカンと大きく下落したり、トランプ次期大統領が初の記者会見でボロを出す、ドル高牽制発言をする、FRBの利上げに注文をつける、あるいは前週のように日本企業を〃奇襲攻撃〃するといった要因で12日に急落したとしても、25日線は日経平均のサポートラインとして力強く下支えしてくれるとみる。25日線の力は決してあなどれない。さらにその下には12月SQ値の18867円が控えている。SQ週に前回SQ値を割り込む事態は避けたいはず。限月が1ヵ月刻みのオプション取引は3ヵ月刻みの先物以上に、スムーズに期先へロールオーバーしたいという意識が働くもの。
ということで、今週の日経平均終値の予想変動レンジは19100~19700円とみる。
トランプ次期大統領は当選後、これまで演説やツイッターで自分の意見を一方的に〃放送〃するだけだったが、11日に予定される記者会見は記者団と向かいあった初めての「質疑のやりとり」。その様子を観察すれば、これから最短4年先までの「世界の主役」の器量が推しはかれる。ジョークを交えて臨機応変に対応できるようなそれなりの人物なのか? 逆質問をしてわめき散らす小物なのか? 〃放送〃を繰り返すだけの録音再生機か? それとも、ブレーンと呼ばれる取り巻きたちのマリオネット(操り人形)か?(編集担当:寺尾淳)