社会民主党の吉田忠智党首は12日、政府が今通常国会に法案を提出、成立を目指す考えを示している「組織犯罪処罰法改正案」について「既遂の処罰を原則とする刑法の基本原則を大きく変えるもので、対象犯罪が『懲役・禁錮4年以上の刑が定められた重大な犯罪』としているため、犯罪数は676にのぼり、600以上を規定したかつての政府原案と変わらない」と強く反対する談話を発表した。
また、吉田党首は「国際組織犯罪防止条約はそもそも越境組織犯罪を抑止することを目的としたにもかかわらず、対象犯罪の越境性(国境を越えて実行される性格)も盛り込まれていない」と指摘した。
吉田党首は、また「組織的犯罪集団」も「準備行為」も「テロ」も定義があいまいで「適用範囲が十分に限定されたと見ることはできない」としたほか「依然として、幅広い解釈が可能になり、捜査機関の恣意的な運用によって基本的人権が侵害される危険性は変わらない」とした。また「一般の市民団体や労働組合等も対象になることが強く懸念される。内心や思想を理由に処罰されるとの不安も払拭されていない」と警戒した。
吉田党首は「今回の法整備はテロ対策やオリンピック・パラリンピックに名を借りた、監視・弾圧立法に他ならない。アベ政治の暴走を進め、戦争できる国づくりの一環であり、社民党は我が国の刑事法体系の基本原則に矛盾し、基本的人権の保障と深刻な対立を引き起こすおそれが高い法案を断じて認めることはできない」と断固反対の姿勢を鮮明にした。
そのうえで「日弁連や人権団体、労働団体、市民団体などと連携して、いわゆる共謀罪法案の国会提出を断固許さない立場で、全力で取り組む」としている。(編集担当:森高龍二)