帝国データバンクは2016年12月の景気動向の調査結果を発表した。
それによると、2016年12月の景気DIは前月比1.3 ポイント増の45.4となり4カ月連続で改善した。4カ月連続の改善は、7カ月にわたり改善が続いた 2014年1月以来2年11カ月ぶりだという。
12月の国内景気は、クリスマスや年末商戦などが堅調だったことに加え、トランプ次期米大統領の経済政策(トランプノミクス)への期待や中国など新興国・資源国経済への不透明感が一部で和らいだこともあり、外国為替市場や株式市場など金融市場が安定的に推移したことも好材料となった。また、自動車生産が引き続き好調なほか、貸家を中心とした住宅着工戸数の増加、東京五輪やインバウンド需要を見込んだ宿泊施設のリニューアル・新規建築などもプラス要因だった。一方、ガソリン・軽油など燃料価格の上昇は企業のコスト負担を増加させる要因となった。国内景気は、堅調な内外需要に好調な年末商戦の効果が加わり、上向き傾向が続いた。
消費税増税前の駆け込み需要で盛り上がった2013年12月以来、3年ぶりに10業界すべてが改善した。年末需要や堅調な外需に加え、原油価格や鋼材価格の上昇を見込んだ需要増が寄与したほか、製造業などの設備投資への動きを感じるコメントがいくつかみられた。
また、『北関東』や『東海』『中国』な10地域中9地域が改善、『東北』が悪化となった。域内の主力産業・企業の好調さが関連業種・企業へと波及する動きがみられたほか、駅前開発や公共投資なども地域経済を押し上げる一因となった。他方、地域によって規模別の改善にバラツキが表れたとしている。
今後の国内景気は、個人消費の動向がカギを握る。賃金の上昇見通しのほか、働き方改革や一億総活躍社会の実現に向けた施策が見込まれることは好材料となる。同時に、拡張的な財政・金融政策の継続は、景気を下支えするとみられる。海外では、トランプノミクスの動きのほか、12月に実施された米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げ、原油など燃料価格の動向に注視しなければならない。人手不足にともなうコスト負担の上昇など懸念材料はあるものの、今後の景気は緩やかな回復が続くとみられるとしている。(編集担当:慶尾六郎)