エアバッグの大規模リコール問題に揺れるタカタの経営再建問題が、大詰めを迎えている。包括的な再建計画の策定を目的に設置した外部専門家委員会が中心となり、現在、スポンサー企業の選定を進めている同社。会社側は私的整理による再建を目指しているが、一部報道によれば、有力スポンサー候補は法的整理での再建を提案しているとされる。再建シナリオはなお流動的ながら、仮に法的整理となった場合、製品の安定供給に支障が出るおそれも指摘されている。
帝国データバンクは、企業概要データベース「COSMOS2」(146 万社収録)の中から、タカタグループと直接、間接的に取引がある下請企業(一次下請先、二次下請先)を抽出し、都道府県別、業種別、年商規模別に集計・分析した。
タカタグループの「一次下請先(仕入先)」は141社、さらに一次下請先と取引を行う「二次下請先」は430社。この結果、直接、間接に取引がある下請企業の合計は全国で571社を数えることが判明した。なお、これら一次下請先、二次下請先の総従業員数は5万9669人。
連結売上高7180億円(2016 年 3 月期)を誇るタカタグループであるが、生産・販売ともに米州を中心とする海外市場が中心ということもあり、企業規模に比して国内下請先の数は600社以下にとどまっている。
都道府県別に見ると、一次下請先では、愛知川製造所や彦根製造所などの設備がある「滋賀県」が30社(構成比21.3%)でトップ。連結子会社のタカタ九州の本社および設備がある「佐賀県」も10社(同7.1%)を数えた。二次下請先を含めた合計では、「大阪府」が107社(同18.7%)で最も多く、全国34都府県に存在することが分かった。
業種別に見ると、一次下請先では「自動車部分品製造」が12社(構成比8.5%)で最も多い。以下、「工業用樹脂製品製造」(10社、同7.1%)、「労働者派遣業」(9社、同6.4%)の順。二次下請先では、「鉄鋼・同加工品卸」が33社(構成比 7.7%)でトップ。以下、「産業用電気機器卸」(21社、同4.9%)、「機械工具卸」(18社、同4.2%)などが上位に名を連ねた。
年商規模別に見ると、「10億~50億円未満」が最も多く、一次下請先・二次下請先の合計で180社(構成比 31.5%)を数えた。「50億~100億円未満」(71社、同12.4%)や「100億~500億円未満」(103社、同18.0%)と合わせて、全体の6割強が年商数十億円から数百億円の中規模クラスの業者で占めることが分かった。
今回の調査により、タカタグループと直接、間接に取引がある下請企業の合計は、全国で571社を数えることが分かった。連結売上高7180億円(2016 年 3 月期)を誇る同社グループの規模に比べると、やや少ない印象を受ける。とはいえ、今後の再建計画の内容次第では一定の影響を受ける下請先も出てくるに違いない。とくに、主要設備があり、一次下請先が相対的に多い「滋賀県」や「佐賀県」内の関連業者への影響は注視する必要があるだろうとしている。
タカタグループの地域セグメントごとの生産・販売実績を見ると、それぞれ米州、欧州、アジアの各地域が日本を大きく上回っており、同社の主戦場は総じて海外市場にあることが分かる。推測の域は出ないものの、仮に法的整理となった場合の取引先への影響は、国内よりもむしろ海外でより大きなものになるのかもしれないとしている。(編集担当:慶尾六郎)