存続危ぶまれるタカタ、リコールの波紋

2016年05月22日 15:38

画・存続危ふ_まれるタカタ、リコールの波紋

欠陥エアバッグ問題でタカタが窮地に立たされている。NHTSAがタカタ製エアバッグをリコール対象に追加すると発表したが、その数は最大で4,000万個。日本や欧州の規制当局が追随すると考えると、リコール対象は全世界で1億個を超えることになる。

 欠陥エアバッグ問題でタカタ<7312>が窮地に立たされている。5月4日に米高速道路交通安全局(NHTSA)がタカタ製エアバッグをリコール対象に追加すると発表したが、その数は最大で4,000万個。NHTSAの方針に日本や欧州の規制当局が追随すると考えると、リコール対象は全世界で1億個を超えることになる。

 リコールにかかる費用の目安は1個あたり1万円とされ、1億個で1兆円かかることになる。3月末に外部流出したタカタ社内の試算は「2兆円超」であった。タカタの自己資本は2016年3月末の時点で1,245億円、手元資金は15年12月末の時点で656億円。16年3月期にリコール関連の特別損失として160億円を計上、17年同期に140億円を計上するとしたが、タカタ側のリコール費用の分担割合が2割になったとしても超過債務は避けられない。

 タカタは巨額なリコール費用の負担に耐えられないため、一時的に各自動車メーカーが立て替えている現状だが、各社は費用の大部分をタカタに請求する方針だ。リコール費用の分担割合でタカタの存続が左右されることから、2月に「外部専門家委員会」を設置し、各自動車メーカーにリコール費用負担の減免を求めているが、簡単に首を縦に振るとは考えにくい。

 ホンダ<7267>はタカタとの取引が多く、タカタの第7位の大株主でもある。タカタ製エアバッグのインフレータの不具合について、ホンダの岩村哲夫副社長は「全世界で2,100万台の追加リコールを行う」と公表し、ホンダの累計リコール台数は5,100万台に達する。

 マツダ<7261>は16年3月期の連結決算にて、タカタ製エアバッグのリコール対策費用として特別損失407億円を計上した。

 タカタ製エアバッグは11年3月期時点で世界シェア2位(20%)を占めている。14年の3月期決算では社の売上高の約40%がエアバッグによるものであった。1960年に日本初の二点式シートベルトを発表、87年にはエアバッグの製造販売を開始し、安全の代名詞として国内外で存在感を放っていただけに消費者に与えたショックも大きい。(編集担当:久保田雄城)