ロボットといえば、やはり花形は「人型ロボット」だろう。とくに日本人は、手塚治の人気漫画「鉄腕アトム」や、藤子不二夫の「ドラえもん」、果ては「機動戦士ガンダム」や「鉄人28号」などの、アニメやマンガの影響もあって、よその国の人よりも「ロボット=人型」のイメージの強く抱いている人が多いようだ。
実際、海外のロボット開発では実用的で無機質なものが多いのに対し、日本のロボット開発では「二足歩行」や「人工知能」など、人間にどこまで近づけるかというコンセプトのもとに開発が進められているロボットを多く見かける。
そんな中、「ロボットのいるくらしを考える」を会社のミッションとして掲げるロボット開発メーカー・株式会社アールティは、昨年2012年6月に米カリフォルニア州サンフランシスコのモスコーニセンターで開催された「Google ⅰ/O 2012」に出展し、Android OS搭載タブレット型端末とAndroid Open Accessory Development Kit(以下、ADK)用ボードで制御する、等身大の人型ロボットを用いた実世界・体験型ゲーム「V-sido x RIC 忍者マスターシステム」を公開した。
V-Sidoは、マウスをつかってロボットを思い通りに動かせるソフトで、直感的な操作が可能な上、ロボットに取り付けたカメラの映像をPCに映し出すことことで、ユーザはあたかもロボットの中に入って操縦しているような感覚で、リアルタイムにロボットに指示を出し、操縦できるシステム。また「RIC(リック)」は、アールティ社が2009年より、着ぐるみを着用させることを前提に開発・販売している全長120cmの二足歩行ロボットで「Robot Inside Character」の略称だ。
「V-sido x RIC 忍者マスターシステム」は、これらのシステムを用いて、人間と人型ロボットのインタラクティブな対戦格闘ゲームを可能にした。このシステムが今回発表されたことにより、Android OS搭載スマートフォンやタブレット型端末が、システム運用機として実世界で展開できることが示された。
現在のところ、ゲーム以外の具体的な展開例は明らかではないが、アールティでは、近い将来、コンピュータは人との関わりを持つための「身体」を必要とすると考えており、そのためのプラットフォームとして開発を進めている。
家庭用ゲーム機に革命を起こした任天堂<7974>の「ファミリーコンピュータ」が発売されたのが1983年。それから、わずか30年でロボットと対戦できるゲームが登場した。あと30年もすれば、もしかすると本当に、一般家庭にアトムやドラえもんのような人型ロボットが、人と一緒に普通に生活している姿を見られる日が訪れるかもしれない。(編集担当:藤原伊織)