クリーンエネルギーの普及を目指す環境保護団体Greenpeaceはこのほど、IT企業の環境問題への取り組みに関する報告書を発表した。同報告書では、大規模なデータセンターや、人気のウェブサイト及びアプリケーションのエネルギー消費量を調査し、企業ごとにスコアを算出して評価している。世界のインターネットサービス市場で主要な地位を占める15社の中で評価の最も高い企業はAppleとなり、他社を大幅にリード。クリーンエネルギー指数が83%、総合評価Aとなった。FacebookやGoogleもこれに続き、それぞれのクリーンエネルギー指数は67%、56%となった。これに対して、Netflix、Amazon、Huluといったストリーミング系サービスで存在感を増している企業の評価が低かったほか、Tencent、Baidu、Alibaba、Naverといったアジアの企業で出遅れ感が目立つ結果となった。
クリーンエネルギー指数は、再生可能エネルギーの使用状況やエネルギー消費ポリシーを発行する意向、データセンターにおいての再生可能エネルギー利用の有無などの要因をもとに算出されている。Appleは太陽光など再生可能エネルギーの導入に積極的で、先月にもNVエナジーが2019年に建設予定のメガソーラー(200MW)からデータセンターへの電力供給に関して合意を取り付けている。Facebookも再生エネルギーの割合を100%にするとコミットしており、最近設立した5つのデータセンターでも再生可能エネルギーが利用されている。GoogleもGoogle Cloudや新市場においての再生可能エネルギー採用に関して積極的に取り組んでいる。
一方でストリーミング系サービス最大手ので、世界中で大規模なネットトラフィックを生み出しているNetflixは、エネルギー関連情報の透明性、再生可能エネルギーへのコミットメント・支持の項目でF評価という結果となっている。15年には温室ガスの排出量を完全に埋め合わせるという計画を発表した同社だが、実質はカーボン・オフセットやグリーン電力証書の購入による運営を続けており、再生可能エネルギー採用に関しては進捗がほとんどないと分析されている。世界市場への進出から成長が著しいアジア企業に関しても、エネルギー市場における選択肢の少なさから再生可能エネルギー採用がほとんど進んでおらず、これらの企業が与える業界への影響力の大きさからも、再生可能エネルギー採用でのコミットに向けた取り組みを早急に進めることが望まれる。(編集担当:久保田雄城)