海上警備行動発令で海保を防相指揮下へ法改正?

2017年02月27日 08:10

 民主党政権下で防衛大臣を務めた森本敏拓殖大総長が自民党部会で講演し、海上保安庁法25条の改正が重要とする旨を語ったようだ。佐藤正久元防衛大臣政務官(自民党政調国防部会部会長代理)がブログで、森本氏が語った内容の一部を紹介。自ら、森本氏の指摘が「重要な指摘だ」と改正へ前向きな姿勢をうかがわせている。

 佐藤氏のブログによると「海上保安庁法25条には『この法律のいかなる規定も、海上保安庁又はその職員が軍隊として組織され、訓練され、又は、軍隊の機能を営むことを認めるものとこれを解釈してはならない』とあるので、これを改正して『海上警備行動発令後に海上保安庁の活動を統合任務部隊の指揮監督下に編入する』というのだ」としている。

 佐藤氏は「中国の海洋進出に対抗すべく、海上保安庁強化の必要性が叫ばれる中、まずは法律の文言を変更することで、より機動的な海上保安庁を実現するということだ」と発信した。

 また、佐藤氏はブログで、森本氏の講演について「北朝鮮の核・ミサイル開発と中国の海洋進出は、日本にとって大きな脅威である。今秋、中国では第19回共産党大会が開催されることから、外交面ではより強硬になる可能性が考えられる。また、北朝鮮指導部内の動向や韓国内政の停滞が朝鮮半島の混乱に拍車をかける可能性も考えられる。米中は経済問題では妥協点を見いだせても、南シナ海・東シナ海、サイバー攻撃、THAAD配備などの安全保障分野では、お互い譲歩できる余地は限りなく小さい。この様な点から日本の防衛力強化は避けられないというのが森本氏の議論の前提であった」と紹介している。

 ただ、海上保安庁は国土交通大臣が管理する外局だが、海上警備行動が発令され、統合任務部隊の指揮監督下に編入すれば、防衛大臣の管理下に置くことになる。自衛隊活動に組み込むことの是非には慎重な議論が求められる。海上保安庁法25条改正が周辺諸国に与える影響も含め、今後、俎上に載れば、新たな安保議論になりそうだ。(編集担当:森高龍二)