原油先物市場に異変つづく。一時49ドルを割り込み、終値は4営業日続落し49ドルそこそこ。12月7日以来の50ドル割れ。それを嫌気してNYダウは午後に大きくマイナスになる局面があったが、終値はプラスに滑り込み2.46ドル高。雇用統計待ちだが4営業日ぶりの小幅反発。わずかなプラスだがNASDAQは続伸、S&P500は4営業日ぶりの反発。金先物は8営業日続落した。新規失業保険申請件数は24.3万人で2万人増加したが大勢に影響なし。チャレンジャー人員削減数は-40.0%で前月から改善。輸入物価指数は前月比+0.2%で市場予測を上回り3ヵ月連続のプラス。前年同期比は+4.6%。
来週のFOMC待ち態勢のアメリカの長期金利は一時2.6%台に上昇したが、朝方の為替レートはドル円が115円近辺、ユーロ円はECB理事会を受けてユーロ高が進み121円台後半。大阪夜間取引終値は19270円だが6月限に変わっているので配当落ち分推定130~135円を加えれば19400~19405円。CME先物終値は19415円だった。
日経平均始値は126円高の19444円。高値は2時59分の19623円。安値は9時2分の19427円。終値は286円高の19604円。取引開始前に財務省、内閣府から1~3月期の法人企業景気予測調査の結果が発表された。大企業全産業の景況判断指数(BSI)は+1.3で3四半期連続のプラス。しかし10~12月期の+3.0からは後退。製造業は+1.1、非製造業は+1.5。中小企業全産業は-11.3。4~6月期の見通しは-1.1。全産業の設備投資見通しは2016年度は+2.0%だが2017年度は-4.6%。企業は景気の先行きに不安を持っている。
10日は、日経平均、TOPIX、JPX日経400など株価指数の先物、オプション3月限の特別清算値(SQ)を全て算出・発表する「メジャーSQ」の日。取引開始前に為替のドル円が115円台に乗せたこともあり、日経平均は3ケタ高の19400円台半ばでスタート。TOPIXは2ケタ上昇。3月SQ値は19434.30円で、SQ値は11月から5ヵ月連続で前月を上回る。9時5分のSQ値算出時点で現値がSQ値を上回り、後はSQ値を一度も下回らない「まぼろしのSQ」で上昇していく。9時台前半で長くレジスタンスラインの「壁」だった19500円を突破。その後は19500円台の前半から半ばで安定する。ユーロ円は122円台乗せ。「円安は全てを癒す」に加えメジャーSQを無事通過したことで10時台も大幅高で安定し、11時を回ると水準を19500円台後半に上げ、19600円に徐々に接近。あと18円まで迫って、安定したまま256円高で前場を終えた。
韓国の憲法裁判所が朴槿恵大統領の弾劾訴追を妥当とし罷免を決めた。弾劾で大統領が失職するのは韓国史上初。アメリカにもない(1974年のニクソン大統領は連邦議会で弾劾は必至とみて自ら辞任)。為替市場も東京株式市場も全く反応せず。5月上旬までに大統領選挙が実施され、フランスとかぶる。後場の日経平均はほぼ前引け水準で再開し、19600円には届かないが19500円台後半で安定した値動き。1ヵ月半ぶりのドル円115円台が強力な支援材料になっている。
1時30分、経済産業省が1月の特定サービス産業動態統計速報を発表した。対事業所サービスは10業種中7業種、対個人サービスは10業種中4業種がプラス。クレジットカード取扱高は+8.4%増で22ヵ月連続のプラス。遊園地・テーマパークの売上高は中国の春節休暇が1月中から始まり+9.6%。3ヵ月連続プラスで団体入場者数は2割増。
日経平均は1時台後半から何度も高値を更新し、19600円に再び急接近。2時を回るとついに19600円にタッチした。為替の円安はジリジリ進み、日経平均は2時台後半、19600円台をわずかに上回って推移する。アメリカの雇用統計待ちに「利益確定売りの金曜日」が重なっても、終盤も19600円台を維持し高値更新が続く。プラス幅は一時300円を超える。大引けで下げても19600円台は確保して終えた。「まぼろしのSQ」完成で1月4日の大発会の終値ベース昨年来高値を更新。日経ジャスダック平均はザラ場マイナスになる時間帯が長かったが終値は21営業日続伸。4週間無敗。+0.21円(21銭)という数字がわざとらしさを漂わせるが、1989年9月12日~10月13日の22連騰の記録まであと1。14日までプラスなら新記録樹立になる。
任天堂もソフトバンクも反発。東芝<6502>は原子力大手のウエスチングハウス(WH)を非連結化すると報じられ1.71%高。売買高トップ。もしWHに連邦破産法11条(チャプターイレブン)が適用されたら東芝の損失はそこで確定するが、連邦政府が肩代わりして最終的にアメリカ国民に負担が発生するので、トランプ政権はいい顔をしないはず。PBの「セブンプレミアム」を刷新するセブン&アイHD<3382>は1.39%高。埼玉県の流通センターが全焼した火災を陳謝したアスクル<2678>はマイナスからプラスに浮上し0.46%高。こんなケースのリスク管理は言い訳よりも先に謝るのが大事。英米法の法廷技術の「Guilty」「Not Guilty」の認否と混同して「絶対に謝るな」と平気でうそぶく人間は、半可通の危険分子。追放していい。
日経平均終値は286.03円高の19604.61円、TOPIX終値は+19.33の1574.01で高値引けではないが高値圏。売買高は22億株、売買代金は2兆9483億円。メジャーSQの日でも3兆円に届かないが、それでも今年になってからの最高値。値上がり銘柄数は1563、値下がり銘柄数は341。プラスは31業種で、その上位は保険、証券、空運、医薬品、サービス、電気機器など。マイナスは鉄鋼、海運の2業種。上海総合指数は0.12%安だった。
今週の星取は2勝3敗。前週末3日の終値19469.17円から135.44円上昇して今週の取引を終えた。
今週は「メジャーSQ週」だったが、2012~2016年に合計20回あったメジャーSQ週の週間騰落を調べてみると、13勝7敗の勝率65%で成績は良い方の部類。今週も白星だった。「SQ週は火曜日か水曜日に、為替の円高を伴った先物主導の仕掛け売りにボロボロにされるが、メジャーSQ週はそれがさらにひどくなる」というのは、イメージが一人歩きしているようだ。(編集担当:寺尾淳)