富士経済は、SiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化ガリウム)といった次世代パワー半導体やこれらに続く「次々世代」の酸化ガリウム系やダイヤモンド系のパワー半導体世界市場を調査した。
それによると、パワー半導体の世界市場は2016年は2兆4,020億円、2025年には2兆9,239億円と21.7%増になると予測している。次世代(SiC/GaN)は2016年は219億円、2025年には1,860億円と8.5倍になると予測している。次々世代(酸化ガリウム系)は2016年は僅少としているが、2025年には700億円に拡大すると予測している。そして、これら合計では2016年は2兆4,239億円、2025年には3兆1,799億円と31.2%増になると予測している。
2016年の市場は、自動車・電装分野向けの需要が好調で、2017年以降も市場は堅調に拡大するとみられるという。
Siパワー半導体は、成長分野である自動車関連で需要が増加し、市場は緩やかな成長を続けていくとみられる。今後は、参入企業によってはディスクリート単体からモジュール事業にシフトする動きもみられる。
次世代パワー半導体のSiCパワー半導体は、2017年以降に6インチウエハーの積極採用が進み製品戦略が活発化することにより、市場拡大が予想される。また、GaNパワー半導体は、中耐圧領域の需要が動き出す2020年頃から本格的な市場拡大が予想される。
次々世代パワー半導体は、酸化ガリウム系パワー半導体の量産が2018年頃から開始され、市場が拡大しはじめるとみられる。ダイヤモンド系パワー半導体は、MOSFETで「ノーマリー・オフ化」を実現できたことで実用化への期待が高まっているが、市場の立ち上がりは2025年以降になるとみられるとしている。
一方、パワー半導体製造装置の世界市場は2016年は1,485億円で、2025年には3,181億円と2.1倍に拡大すると予測している。2016年は、設備投資が進まなかったことや円高にシフトしたことによって市場は縮小した。しかしSiCパワー半導体向け製造装置は、SiCパワー半導体の量産に向けた設備投資が2017年から2018年にかけて進むため市場拡大が予想されるという。
GaNパワー半導体向け製造装置は、GaNパワー半導体の量産化の遅れから設備投資が進んでいないため小規模な市場にとどまる。2018年以降にウエハーや半導体市場が拡大するとみられ、設備投資による装置市場の拡大が期待されるとしている。(編集担当:慶尾六郎)