日本の科学研究、影響力低下が懸念されるもトップ引用論文は健在なことが判明

2017年04月11日 07:43

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近年日本においては、留学生数の減少による国際共著論文数の減少や、トップレベルの研究者の高齢化を背景として、科学論文の被引用回数が減少している。

 近年日本において、留学生数の減少による国際共著論文数の減少や、トップレベルの研究者の高齢化を背景として、科学論文の被引用回数が減少している。科学の研究活動自体も減少傾向にあり、世界的にみると研究活動の活発な国から遅れを取り始めている。情報サービス企業のクラリベイト・アナリティクスによれば、調査研究プラットフォーム「Web of Science」に収録される世界的に影響力のあるジャーナルに発表された論文数で、2015年に日本人研究者が発表した論文は、05年と比較して600報近く減少していることが判明した。日本の論文数が占める世界での割合は05年で8.4%だったものが15年には5.2%に落ち込んでいるとのこと。05年からの10年間で、日本では、11分野において論文数が減少。生物学・生化学、分子生物学、コンピューターサイエンス、免疫学といった従来日本が強いとされてきた分野での研究活動の停滞が指摘されている。

 これに対して、中国の論文数や引用回数の割合が伸びており、米国、英国、ドイツ、日本などに迫る勢いだ。中国で論文数が急増している背景には、研究資金や人材が大幅に増加していることに加え、資金の配分を力のある研究者に有利な形で行っていることがある。また、研究者の評価として論文数の数量的評価を取り入れており、被引用回数も重視されている。中国研究者の科学雑誌、科学データの関係者への影響も強まっており、中国語で投稿できる論文誌の発行も多くなっている。

 一方で、同社の分析によれば、依然として日本には世界レベルの研究者が多くいるとされており、過去10年間にわたって日本の総論文数に対するTop10%論文の割合は安定しいるとのこと。また、同社が毎年発表する「引用栄誉賞(ノーベル賞予測)」には、日本人も多く選出されており、Top1%論文の割合に関しても増加している。こうしたことから、論文の引用回数が必ずしも国際的な評価を表すわけではないことを念頭に置きつつ、科学的知見の拡大や人類社会の発展のための研究を活発化していくことが望まれる。(編集担当:久保田雄城)