大阪府豊中市の国有地が大阪市の学校法人森友学園に8億円強の大幅値引きをされ、払い下げられた問題で、その経緯を含め、政府・与党は国民の疑問に全く答えていない。
NHKの世論調査でも、森友疑惑に対する政府の説明に『納得していない』と答えた人は回答者の78%に上った(今月10日放送)。また、時事通信の調べでも、安倍総理の説明に68.3%が「納得していない」と答えた。自民党支持者の回答でも55.3%が「納得していない」のが現実だ。
特に、安倍昭恵総理夫人と森友学園理事長だった籠池泰典氏との関係、籠池氏と総理夫人付き秘書(公務員)とのファックス等のやり取り、安倍昭恵総理夫人が大阪府私学審議会会長の梶田叡一奈良学園大学学長と同大学グラウンドでの催しで偶然にも会っていたことが最近、明らかになった。会ったのは森友学園が開校予定していた小学校の名誉校長に就く前日だった。
安倍昭恵総理夫人の言動が、今回の不可解な国有地払い下げや学校開設での「条件付き認可適当」などに影響したのか、影響は全くなかったのか、昭恵夫人付き秘書が籠池氏に送ったファックス回答も含め、政府が言うように、秘書が勝手にファックスをしたのか、真相は全く説明されていないし、明らかにもなっていない。
昭恵夫人らへの証人喚問の必要について、NHK世論調査でも「必要ない」は22%だったのに対し「必要だ」は42%と倍近くにのぼった。
この声に、昭恵夫人ご本人は「総理夫人として」当然、答える道義的責任があるだろう。
公の場で発言しないとすれば、一般国民は「何と無責任な」と受けとめざるをえない。政府・与党が森友問題に、国民の疑問に答えるより、早々に幕引きすることを目指しているのではと疑いたくなる不誠実な姿勢は今月12日の衆院厚生労働委員会でも浮き彫りになった。
野党議員が安倍総理に森友問題に触れて質問したことに「信頼が壊された」と一方的に介護保険法等改正案の採決を求める緊急動議をし、強行採決した。野党からは「森友隠し以外の何物でもない」と批判が相次いだ。
民進党の蓮舫代表は「総理に都合が悪い質問があったら即座に審議を打ち切り、採決となった」と非難。山井和則国会対策委員長は「国会議員の質問権を封じることにつながりかねない」と二度とこうした対応があってはならないと強くけん制した。
国会はその後、自民党が採決について遺憾の旨を示したことなどから、14日正常化した。しかし、森友学園問題に対する真相解明のための、昭恵総理夫人や籠池氏にファックス回答した谷査恵子夫人付き秘書(公務員)ら、関係者を参考人や証人喚問で国会招致し、疑問を解き明かすべきとする国民の思いに対する解決には全くつながっていない。与党の政治的責任への自覚と野党の追及能力が大きく問われている。総理夫人関与の有無など有耶無耶にしてはならない。これは政治の責任だ。(編集担当:森高龍二)