安倍晋三首相を本部長とする特定複合観光施設区域整備推進本部(IR推進本部)は初会合を開催、IR推進会議のメンバー8名を選出し、IR推進法案の実施に向けて本格的な活動を始めた。
IR推進本部の副本部長は菅義偉官房長官と石井啓一国土交通相が務める。推進会議のメンバーは以下の8名が選出された。大和総研乗務・チーフエコノミスト 熊谷亮丸氏、学習院大学法学部教授 桜井敬子氏、政治解説者 篠原文也氏、コングレ社長 竹内紀子氏、あずさ監査法人パートナー・公認会計士 丸太健太郎氏、大阪商業大学教授 美原融氏、三宅法律事務所パートナー・弁護士 渡邉雅之氏。
安倍本部長は会合冒頭、大規模な民間投資が行われ、大きな経済効果と雇用創出効果をもたらすと発言、さらにクリーンなカジノを実現するために世界最高水準のカジノ規制を導入し、魅力ある日本型IRを創りあげたい、と述べた。
IR推進本部は今後、IR推進会議と協調してIR実施法案の策定作業を正式に開始し、2017年の夏頃をメドにIR実施法案と制度設計の大枠を作り上げる予定でいる。IR推進会議はIRの区域認定制度や国または自治体が事業者から徴収する納付金制度などを議題とする。大枠が作られた段階で一般から意見公募を実施、「国民的な議論」を経てから本格的な法案策定に入る。
IR推進本部の始動で本格化するのが自治体の誘致競争。すでに北海道はサミットが開かれた洞爺湖一体にIRを誘致する考えを持っており、大阪府は人工島の夢洲を誘致場所候補としてアピールしている。
長崎県や徳島県も誘致に熱心な姿勢を見せているが、IR推進法案の附帯決議では、IRの整備が可能となる「特定複合観光施設区域」の指定は「厳格に少数に限る」とし、法律で認定数の上限を決めるように求めている。すべての立候補地にカジノを含んだ統合型リゾートができるわけではない。
誘致競争の一方で、カジノ反対の意見は依然多い。ギャンブル依存症増加に対して政府はギャンブル依存症対策整備に乗り出したが、犯罪率の増加懸念や経済効果に対する疑問視などには明確な答えを示していない。IR推進本部がまとめた実施法案の大枠に対して、「国民的な議論」がどのように展開するのか注目したい。(編集担当:久保田雄城)