既に半導体メモリー事業の分社化を決定し現在売却先を募っている東芝が、更に主要4事業部門の分社化を決定。分社化されるのはインフラシステムソリューション社、ストレージ&デバイスソリューション社、インダストリアルICTソリューション社、エネルギーシステムソリューション社の4社。尚、東芝の危機を招くこととなった原子力事業部門は、エネルギーシステムソリューション社に所属することに。
主要事業部門の分社化を行った後の東芝本体は、実質的には持ち株会社としての機能を担うこととなる、
半導体メモリー事業を分社化し売却、更に原子力事業についても事業縮小方針であり、かつての事業の柱に頼れない東芝は、今後社会インフラに関わる事業を中心に再建を計画している。しかしながら社会インフラに関わる事業は大規模な工事が必要不可欠であり、そのためには国から特定建設業許可を得る必要がある。ただし特定建設業許可を得るには、下記の全ての財務条件をクリアする必要がある。
1.欠損の額が資本金の額の20%を超えていないこと
2.流動比率が75%以上であること
3.資本の額が2000万円以上であり、かつ、自己資本の額が4000万円以上であること
東芝は2017年3月期には債務超過転落が見込まれており、上記財務条件をクリアすることができない。発注者から直接請け負った1件の工事代金について、4000万円以上となる下請け契約を締結する場合は、特定建設業の許可が必要不可欠となる。発注金額が多額となり下請けも多く活用する社会インフラ関係の工事は、特定建設業の許可なしに手掛けることは実質的にはできない。しかし分社化される新しい事業会社は債務超過ではないため、特定建設業許可を得ることができる。よって今回の東芝の4事業分社化の措置は、東芝としては生き残りのためにはやむを得ない措置とも考えられる。
主要4事業の分社化は、東芝再建の前進とは言い難い。しかし分社化により、他社からの資本支援等も受け易くなる、と言うメリットも存在する。今後東芝が分社化のメリットを、経営再建にどのように生かして行くのかに注目したい。(編集担当:久保田雄城)