米カリフォルニア州に拠点をおくベンチャー企業キティーホークは24日、「空飛ぶ車」の試作機が飛行している動画を公開した。同社はGoogleの共同創業者ラリー・ペイジ氏が出資していることで知られている。
公開された試作機「キティーホークフライヤー」は超小型軽量航空機。イメージとしては水上バイクとドローンをかけ合わせたような形で、翼の上に設置された操縦席にまたがって操縦する。バイクのハンドルのような形をした操縦桿を両手で握りながら機体をコントロール。計器と思われる液晶パネルが操縦桿の真ん中にある。こうした液晶パネルを使った計器は「グラスコックピット」と呼ばており、最新の旅客機にも導入されている。
1人乗りで、重さは100キログラム。時速40キロメートルで、高度4.5メートルを飛行することができる。2つのフロートによって水上で浮かぶことができ、翼には8つのプロペラが付いており、ヘリコプターのように垂直に離陸する。
動画ではプロペラを始動し、水上から水しぶきを上げながら離陸。広大な湖の上を水平飛行や旋回、ホバリング、着陸という一連の飛行動作が収められている。小回りも効いて、軽快に操れる。
米連邦航空局(FAA)からは「非密集地域」での飛行が許可されており、具体的には建物が無く、混雑していない水上でのみフライトができる。ヘリコプターや固定翼といった航空機の操縦免許は不要で、誰でも手軽に操縦可能。操作方法も簡単で、数分で操縦できるようになるという。同社では年内の販売開始を目指して改良を重ねている。価格は未定。
「空飛ぶ車」は他にも複数の会社が開発を進めており、米配車サービス大手のウーバー・テクノロジーズも25日に開発計画を発表した。
水上に限定されているとはいえ、免許不要で誰でも手軽に操れる航空機に仕上がっているキティーホークフライヤー。法整備など乗り越えるべき課題も多いだろうが、誰もが空を気軽に飛べる未来が近づいていることを感じさせる。実用化されるのが楽しみだ。(編集担当:久保田雄城)