国交省、民間団体によるドローン技能講習に公認制度

2017年03月29日 07:13

画.国交省、民間団体によるドローン技能講習に公認制度

国土交通省は民間団体が開設するドローンの技能講習についての公認制度を4月から導入する

 国土交通省は民間団体が開設するドローンの技能講習についての公認制度を4月から導入する。認定を受けた団体については、同省のホームページに掲載し公表する予定。ドローンの操縦には必ずしも資格が必要というわけではないが、人口密集地や高度150メートル以上などで飛ばす際には国に許可申請する必要がある。操縦ミスによる墜落事故件数の増加や無許可での飛行についても課題となっていた。

 総理大臣官邸の屋上でドローンが見つかったことを受け、2015年12月に空港周辺や夜間のドローンの飛行などを原則として禁止する改正航空法が施行され、16年の年末までに、全国で36件の検挙があったとのこと。去年8月には北九州市で国の許可を受けずに飛行禁止区域の公園でドローンを飛ばしたとして初の逮捕者も出ており、ドローンの操縦には実技訓練と同時に規定されたルールの習得が求められている。現在、数百にものぼる業界団体やメーカーなどが、操縦方法や飛行技術を教える講習会を実施しているが、内容にはばらつきがあることが問題視されていた。

 今回の公認制度の基準では、改正航空法で定められた飛行禁止区域や機体の点検項目など安全に関する座学および安定した離着陸や一定高度を維持してのホバリングなど実技訓練が必須となる。また、講習団体はこれまで1年以上講習を実施している必要があるほか、飛行経歴が30時間以上あり、適切な指導ができる教官を一定数配置することなどが条件となっている。

 ドローンは配送や監視、空撮、農薬散布など、今後さまざまな用途での活用が見込まれており、操縦者の技能管理は喫緊の課題となっている。同省は、操縦技術に一定の基準を設け、公認講習の修了証明書を持つ人に対してはこれをクリアしているとみなすことで、各サービスの安全性向上につなげたい考え。こうした操縦者に対しての取り組みのほか、ドローンの運行状況を管理し、飛行禁止区域での飛行を防ぐなど、システムによる管理体制も注目されている。楽天は米国のベンチャー企業と共同で、運行管理システム事業に参入。複数のドローンが同時に飛行する商用サービスなどで、システムによるドローン運行管理の提供を目指す。

 改正航空法にもとづく飛行許可申請・承認は、スタートから1間で約1万件とまだまだ参入者が少ないのが現状だが、技能講習やシステムによる運用体制が整備されることで、運営主体のリスク軽減にもつながり、ドローン利活用の普及にもつながると考えられる。(編集担当:久保田雄城)