燃費不正問題が発覚した三菱自動車が2017年3月期決算を発表。当期純利益は前期の725億円の黒字から1,985億円の赤字に転落。2018年3月期に業績のV字回復を果たすことができるかどうかが、三菱自動車再生の試金石になると考えられる。
燃費不正問題が発覚した三菱自動車<7211>が2017年3月期決算を発表。営業利益、経常利益はかろうじて黒字を維持したものの、燃費不正関連の費用を特別損失で約1600億円を計上する等により、当期純利益は前期の725億円の黒字から1,985億円の赤字に転落している。
三菱自動車に燃費不正が発覚したのは、2015年11月。今回発表された決算は、燃費不正発覚後の販売不振、補償費等の大部分の燃費不正関連費用を織り込んだ数字となっている。
燃費不正問題発覚以前より、経営資源を日本から東南アジアにシフトしていた同社の17年3月期決算は、約15%の減収となり売上高1.9兆円と2兆円を割れたものの、営業利益、経常利益はともに黒字を死守。2000年のリコール隠し発覚以降進めてきた、東南アジアシフト路線が功を奏している。
しかしながら営業利益1,383→51億円、経常利益1,410→89億円と大幅な減益に陥っている。
同社の赤字の最大の要因は、燃費不正関連の損失額1,654億円。燃費試験関連損失として特別損失での計上がなされている。
そして法人税等を考慮した最終的な当期純利益は▲1,985億円。16年3月期の725億円の黒字から、大幅な赤字転落となっている。
三菱自動車は、燃費不正の発覚を受け2016年5月に日産自動車<7201>の傘下入りを果たしている。17年3月期決算で燃費不正関連の損失を一気に計上した形の三菱自動車であるが、営業利益、経常利益ともに黒字を維持しており、18年3月期は日産との提携効果も期待できるため、業績急回復の可能性を有している。
2000年のリコール隠し、そして2015年の燃費不正と不祥事を繰り返した三菱自動車であるが、日産の傘下入りにより、企業体質の健全化そして収益力の強化が求められている。日産がカルロス・ゴーン氏による再建が成功し業績がV字回復したように、当期の18年3月期に業績のV字回復を果たすことができるかどうかが、三菱自動車再生の試金石になると考えられる。(編集担当:久保田雄城)