2017年5月11日(木)から5月16日(火)の6日間にわたり、国内では24年ぶりの開催となる「PWAワールドカップ」が神奈川県横須賀市の津久井浜海岸で行われた。同大会は毎年ヨーロッパを中心に約10か国を転戦する ワールドツアーで、世界のトッププロが世界一を競い合う、ウインドサーフィンの世界最高峰の大会だ。
特別協賛の全日本空輸をはじめ、京浜急行電鉄や西武プロパティーズ、アサヒビールなどが協賛企業として名を連ね、華々しく開催された会場では、レースはもちろん、世界のトッププロ選手約100名によるスラロームレース、マリンスポーツ体験イベント、横須賀や三浦、世界のグルメを味わえるフードコーナーなど、イベントコーナーも大きな盛り上がりを見せていた。
そんな中、マリンスポーツファンから注目を集めていたのが、ロームのグループ会社、ラピスセミコンダクタがデモ展示していた、ウインドサーフィンの技術力向上を目的とした小型センサノード「Windhack」だ。
「WindHack」は、帆、選手、ボードの3か所に同社のIoT リファレンスデザインLazurite(ラズライト)をベースとした9軸センサ(加速度・ジャイロ・地磁気・気圧など)を設置し、GPSで位置情報を取得しながらウインドサーフィンのセール、ボード、体の動きをmicroSD カードに記録することができる世界初の製品で、身のこなしや帆の動かし方など、ウインドサーフィンの技術向上を図る目的で使用される。
この「Windhack」を用いて、ラピスセミコンダクタは5月11日から9月 30 日の約 5カ月間、日本ウインドサーフィン協会と富士通と協業で実証実験を進めている。日本ウインドサーフィン協会が提供対象選手の募集を行い、取得した各種センシングデータは富士通がクラウド上で解析して、セールの動きを3Dモデルやグラフで可視化。選手のスキルアップにつながるデータとして提供するという。また、プロ選手だけでなく、アマチュア選手や初心者の練習などにも活用の幅を広げることで、「WindHack」の成果をはかるとともに、ウインドサーフィンの普及にもつなげたい考えのようだ。
巷では今、IoTがトレンドになっているが、モノのインターネット技術は今後、スポーツの世界にも数多く取り入れられていくだろう。2020年の東京オリンピックまで、あと3年。ウインドサーフィンも正式種目に採用されているが、同競技だけに留まらず、他の競技の日本選手のスキルアップ、そして一つでも多くのメダルを獲得するためにも、日本の最先端IoT技術をぜひ役立ててほしいものだ。(編集担当:藤原伊織)