Appleがフィンランドの睡眠分析のスタートアップ、Bedditを買収したことが話題となった。Bedditは2007年に設立されて以来、睡眠モニター・デバイスの開発を行ってきた企業だ。14年には同国のベンチャー・キャピタル、Inventure Oyなどから、総額350万ドルの資金調達 に成功している。
Appleがフィンランドの睡眠分析のスタートアップ、Bedditを買収したことが話題となった。Bedditは2007年に設立されて以来、睡眠モニター・デバイスの開発を行ってきた企業だ。14年には同国のベンチャー・キャピタル、Inventure Oyなどから、総額350万ドルの資金調達 に成功している。最新睡眠トラッカー「Beddit3」では、センサー搭載の帯状のデバイスを床に敷き、睡眠時間、心拍数、呼吸パターン、体温、体の動き、いびきなど、詳細にわたる睡眠データを測定。AndroidやiOSのコンパニオンアプリから睡眠分析とフィードバックを得て睡眠の質を高めることができる。Appleは、近年「睡眠分析技術」に注目しており、Bedditの買収でヘルステック市場での競争力を高める狙いだ。
Appleは、健康志向の気運をいち早く捉え、「アクティビティ」「栄養」「マインドフルネス」「睡眠」を主要テーマに、様々なヘルス・アプリの開発に注力している。iPhone、iPod touch、Apple Watch など複数のデータソースから集めたヘルスケアデータ管理アプリ「ヘルスケア」もその取り組みの一つだ。特に睡眠に関しては、CDC(米国疾病予防管理センター)の調査によれば、米国だけでも5000万人から7000万人が何らかの睡眠障害に苦しんでおり、ニーズの受け皿となるために睡眠トラッキング・分析の精度を高める取り組みがなされてきた。
Appleストアでは15年からすでに、Bedditの製品が発売されており、「HealthKit」を利用してヘルス関連アプリとBedditのモバイル・アプリをリンクさせるだけで、睡眠パターン、心拍数、呼吸パターンといったバイタルデータが分析可能となっている。また、規則正しい睡眠習慣を促進する意図で開発された「ナイトシフト」では、目標の就寝時間と起床時間を設定しておけば、就寝時間が近づくにつれてモニターの明るさを調節し、睡眠に悪影響があるといわれるブルーライトを軽減。睡眠データは「ヘルスケア」で管理され、自分の睡眠パターンをモニターで確認することもできる。
睡眠トラッキングに関しては、GoogleやFitbitなど健康トラッキング大手以外にも、Appleの「ナイトシフト」開発者ロイ・レイマン氏が参加するSleepScore Labsなど多くの有力スタートアップが参入しており、競合がひしめき合う市場となっている。睡眠が健康や活動の基盤となる分野だけに今後も注目度が高まるとみられる。(編集担当:久保田雄城)