日本における音楽配信サービスは1990年代に一部のサイトで実験的に始まり、その後2000年代に入って携帯電話向けに「着うた」などのサービスが普及しユーザーに浸透してきた。2013年頃からレコチョクBest、KKBOXといった定額制サービスが開始され、さらに2015年になるとアップルミュージック、LINE MUSIC、Google Play Musicといった大手事業者によるサービスも開始され一気に普及し始めた。2016年には海外で多くのユーザーを抱えるSpotifyも参入し大手事業者のサービスも出揃った感がある。
ICT総研では、音楽サービスの主流となりつつある定額制音楽配信サービスの市場動向について調査を行い、現在の市場規模を推計した。ICT総研の需要予測では、2016年末時点で日本国内の定額制音楽配信サービスの利用者数は約1,420万人と推計される。
1,420万人の利用者のうち毎月一定額の料金が発生する有料サービス利用者数は690万人、無料のお試しサービスなどを利用中の無料サービス利用者数は730万人となる。また、2017年末の時点では有料サービス860万人、無料サービス960万人で1,820万人に達する見込みだ。さらに2018年末には有料・無料サービス合計で2,020万人、2019年末には2,230万人へと急速に成長すると予測される。
ICT総研が2017年1月に実施したWebアンケート調査の結果では、定額制音楽配信有料サービス利用者は374人(8.5%)、無料サービス利用者は436人(9.9%)であった。Webアンケートを実施した4,413人のうち18.4%にあたる810人が有料または無料の定額制音楽配信サービスを利用していることがわかる。前回の調査と比較して有料、無料サービスともに利用率が向上する結果となった。定額制音楽配信サービスのうち有料サービスでは20代~30代の利用率が最も高く、無料サービスでは10代~20代の利用率が高い傾向が見られる。総じて年齢層が高くなるほど音楽配信サービスの利用率は低下する傾向が見られ、現時点では10?30代が音楽配信サービス市場を支えていると言えそうだとしている。
アンケート調査の結果では、Apple Musicの利用者が最も多く298人だった。2位はLINE MUSICで234人、さらにAmazon Prime Musicが191人、Google Play Musicが140人、AWA 137人、Spotify87人、dヒッツ83人、レコチョクBest71人と続く。海外事業者のサービスが高いシェアを維持しており、新規参入のSpotifyも急伸している。LINE MUSIC、AWA、dヒッツ(NTTドコモ)、レコチョクBest、うたパス(KDDI)などの国内事業者が販売するサービスは、Apple MusicやGoogle Play Musicよりも先に日本で開始されていたが、AppleとGoogle、Amazonなどが一昨年からサービスを開始したことで利用者が激増し、一気に市場が伸び始めたようだとしている。
Webアンケートの顧客満足度調査結果では、Apple Musicが76.1ポイントで1位、レコチョクBestが75.6ポイントで2位につけている。昨年サービスを開始したSpotifyも75.4ポイントと高い満足度を得ており今後のシェア拡大が見込まれる。Google Play Musicは73.1ポイントで4位、以下dヒッツが72.3ポイント、Amazon Prime Musicが70.3ポイント、AWAが70.3ポイント、LINE MUSIC 67.6ポイントと続く。(編集担当:慶尾六郎)