前文科事務次官の証人喚問は与党こそ求めるべき

2017年05月27日 11:03

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 政府・与党の「怪文書」との説明に、多くの国民は納得していないのではないか

 「平成30年4月開学を大前提に、逆算して最短のスケジュールを作成し、共有いただきたい。これは『官邸の最高レベルが言っていること』(むしろもっと激しいことを言っている)」などの文書。

 内閣府審議官と参事官、文科省の課長と課長補佐の4人が学校法人加計(かけ)学園(岡山市)の大学への獣医学部新設にかかる打ち合わせを行った内部文書とされている。菅義偉官房長官は「怪文書だ」とし、文部科学省の事務方トップだった前川喜平・前文部科学事務次官は「この文書はいずれも部下から受け取ったレク(説明用)資料です。これらの文書は、大臣や次官への説明用として担当の高等教育局専門教育課が作成したものです」と証言し、「文書は確実に存在した」とする。

 いずれの証言が正しいのか。国会の場で、真実を明らかにしなければ「国民の安倍政権への不信はつのるばかり」。

 しかも、証言している前川氏が事実でなければ偽証罪に問われる「証人喚問」にも応じるとする中、自民党の竹下亘国対委員長は民進党、日本共産党、自由党、社会民主党の国対委員長が一致し、前川氏の証人喚問を申し入れているにも関わらず「受けられない」と拒否をする。

 学校法人森友学園(大阪市)への国有地払い下げを巡る問題では、安倍晋三総理の名誉を優先し、全くの民間人である籠池泰典前学園理事長を「証人喚問」し、名誉校長に就任していた安倍総理の昭恵夫人や昭恵夫人付き女性秘書の証人喚問に全く応じない。籠池氏はOKで、他はNOとする合理的根拠が全く分からない。

 今回の文科省が作成したとみられる文書についても、前川氏を証人喚問することで、菅官房長官が「文書の出所が分からない」「信憑性も定かでない」としている部分の解明に迫る可能性が高い。

 それにもかかわらず、拒否する与党とは何なのか。国民への説明責任を果たす考えや真相究明の視点がなく、総理を守る、夫人を守ることに与党、文科大臣、現役官僚がこぞって努めなければならない事情があるのか。

 前川氏はすでに民間人で、民間人の言っていることだから、という声も聞かれるが、民間人になったから発言できることがあるのも誰もが分かること。それが国民にとって重要な内容なら、是非、国会の場で「証言」を行って頂きたい。

 政府・与党の「怪文書」との説明に、多くの国民は納得していない。説明責任を果たしているとも感じていない。政府・与党が、加計学園を巡る案件に疚しいところがないとするなら、前川氏の証人喚問に賛同すべき。真相解明の第一歩はそこから始まる。与党こそ証人喚問を求めるべき。(編集担当:森高龍二)