今年4月の有効求人倍率は前月比0.03ポイント上昇の1.48倍となり、1974年2月以来43年2カ月ぶりの高さとなった。これは、バブル経済期の水準を超える有効求人倍率で、空前の売り手市場となっている。企業側も優良人材の採用に必死で、業界・職種によっては人材不足が顕著だ。近年続いているエンジニアの人材不足も深刻化していると考えられるが、こうしたなか、エンジニア不足の現場での実情を調査すべく、エンジニア人材サービスのVSNは、エンジニアのマネジメントを行ったことがあるビジネスパーソン(計698名)を対象に実施した、「エンジニアに関する実態調査」の結果を公表した。
優秀なエンジニアの人材確保については、重要(「非常に重要」(44.4%)、「重要」(40.6%))と捉えている人が8割以上(85.0%)となり、人材確保が重視されていることがわかる。一方、現場での実情では73.2%(「とても不足している」(30.5%)、「やや不足している」(42.7))で実際にエンジニアが不足していると感じていた。続いて、エンジニアに求める技術力以外のスキルでは、「コミュニケーションスキル」がトップとなり、次いで「提案力」「コンサルティングスキル」となった。職場に在籍しているエンジニアの雇用形態では、「正社員」が86.4%でトップ、次いで「派遣社員」の21.3%となった。一方、今後、増えると予測される雇用形態は「正社員」の59.6%に次いで「派遣社員」が41.0%と高くなった。女性エンジニア、時短勤務、また外国籍のエンジニアが職場にいるかを聞いたところ、女性エンジニアで69.1%、時短勤務エンジニアで50.9%、外国籍エンジニアで49.4%が「いる」と答えた。また、エンジニアの仕事に「性別」や「国籍」は何らか業務に関係するかについては、80.2%で「ない」と回答する結果となった。
大手企業が積極的に採用活動を進めており、ますます優秀人材の採用が厳しくなる中堅・中小企業や地方企業のなかには、独自の工夫により人材確保に取り組んでいるところもあるようだ。エンジニアが不足している長崎県佐世保市にあった通信機器メーカー九州テンは、人材確保やグローバル化のために本社所在地を福岡市博多区に移している。また、栃木県のヨシ電子では、専務が1ケ月間交換日記をやり取りすることで新入社員とのコミュニケーションを図っている。食堂や託児所など自社設備を充実させることで魅力を高める企業もあり、それぞれが優秀人材の確保を重要視し、取り組みを強化していることがうかがえる。(編集担当:久保田雄城)