2017年度は企業の 52.4%が設備投資を計画

2017年05月23日 06:47

 国内景気は個人消費の伸びが緩やかにとどまるなかで、輸出に加え設備投資がけん引役となることへの期待が高まっている。また、政府は「成長戦略 2016」において、2018年度までに設備投資を年間80兆円程度に拡大する目標を掲げ、中小企業向け投資促進税制の拡充など、生産性向上に対する政策が進められている。そこで、帝国データバンクは、2017年度の設備投資計画などに関する企業の見解について調査を実施した。

 2017年度(2017年4月~2018年3月)に設備投資を実施する予定(計画)があるか尋ねたところ、設備投資が『ある』(「すでに実施した」「予定している」「実施を検討中」の合計)は52.4%となり、半数を超える企業が設備投資の実施を予定していた。内訳は、「すでに実施した」が4.8%、「予定している」が 28.1%、「実施を検討中」が19.5%となった。他方、「予定していない」は36.9%だった。設備投資の予定(計画)が『ある』企業を規模別にみると、「大企業」(60.8%)が6割を超えている一方、「中小企業」が50.3%、「小規模企業」が38.1%となった。「大企業」と「小規模企業」では22.7ポイントの差があるなど、規模が小さくなるほど設備投資を予定する企業の割合は低下しており、企業規模により状況が大きく異なる実態が浮き彫りとなった。

 業界別では、『運輸・倉庫』(71.6%)が7割を超えたほか、『製造』(68.3%)、『小売』(57.6%)が高い。また、最高の『運輸・倉庫』と最低の『卸売』(41.2%)で30.4ポイントの差が表れており、設備投資の実施は各企業の直面する経営環境により濃淡がはっきり分かれる結果となった。

 企業からは、「老朽化した車両(トラック)の入れ替えで設備投資を実施している」(一般貨物自動車運送、静岡県)や「各自動車メーカーから発表される新型車を積極的に導入していきたい」(一般貨物自動車運送、兵庫県)、「省エネタイプの設備投資を実施し、電気料金等それなりの節約につながった」(家庭用電気機械器具小売、青森県)などの声があがった。また、輸出を行っている企業の設備投資計画が6割を超えるなど、海外取引を行っている企業ほど設備投資に前向きななか、「新しい設備は大幅に生産能力が向上するため、現在は行っていない輸出にも力を入れる」(ビール製造、三重県)といった意見もみられた。

 2017年度に設備投資の予定(計画)が『ある』と回答した企業5,259社に対して、予定している設備投資の内容について尋ねたところ、「設備の代替」が44.7%で最高となった(複数回答、以下同)。次いで、「既存設備の維持・補修」(36.0%)、「増産・販売力増強(国内向け)」(27.9%)、「省力化・合理化」(24.7%)、「情報化(IT 化)関連」(19.5%)が続いた。設備の老朽化にともなう更新投資を目的とする割合が高くなっているが、事業を拡大する積極的な投資も上位にあがった。また、人手不足が深刻化するなか、4社に1社が省力化や合理化、5社に1社が情報化などへの設備投資を予定している様子がうかがえる。

 企業からは、「人材不足のため作業の機械化を検討」(野菜卸売、北海道)や「効率化、省力化できるものは積極的に取り組んでいきたい」(印刷、香川県)といった声のほか、「販売力増強のための新規出店および既存店の改装」(医薬品小売、静岡県)などの意見も聞かれた。(編集担当:慶尾六郎)