佐川氏の次期国税庁長官報道 政府の論功人事?

2017年06月30日 08:01

 学校法人森友学園への国有地払い下げでの8億円値引き問題で、国会での野党の質問に「当時の資料はない、記憶はない」などの答弁を繰り返し、半ば、野党の追及から政府を守ったと受け取れる佐川宣寿理財局長が次期人事で「国税庁長官」に任ぜられるとの一部報道に、29日の菅義偉官房長官記者会見で、記者団が「国税庁長官がどのような方であるかは、国民の納税意識にも直結しかねない重要なポストであり、国民に色んな資料の提出を求める立場になるが、国会質疑で『資料はない』『記憶はない』『記録はない』『調べる必要はない』などと繰り返えした方が国税庁長官になるというと、適格性が問われることになるのではないか」と強い疑問を投げた。

 菅長官は「仮定の質問に答えるべきでないと思う」と回避した。記者団が「佐川理財局長は政府側答弁に非常に符合する、政府に都合の良い答弁を国会でしていた。あの答弁自体が国民の疑念を払しょくできるものではなかったと受け止められている。加計学園問題で萩生田光一官房副長官から何を言われたかを言えない背景には、人事局サイドから、言わないことで、4年後の事務次官などのポスト確約などがいわれているのではないかと文科省サイドから聞いている。このような人事配置をすることは、政府側に有利な発言をし続けろというメッセージを発しているようにも見えるが、どうなのか」と追及する場面もあった。

 菅官房長官は「国税庁長官に誰がなるか、まだ決まってないんじゃないか。また、佐川理財局長は質問に的確に答えていたと思う」と反論。そのうえで、人事については「客観的に、公平に、財務省から上がってきたものについて、精査し、人事検討会議、大臣との協議を踏まえ、適材適所で最終決定する」と強調した。しかし、報道通りなら、国会での野党追及を乗り切った論功人事と受け取られそうだ。

 国有地払い下げの不可解な値引きなどは国会の証人喚問に応じ、証言した籠池泰典前森友学園理事長が語った「神風が吹いた」との表現通り、中身は全く解明されないままになっている。森友問題は国有財産の8億円の値引き問題にこそ、存在する。(編集担当:森高龍二)