ビットコインに次ぐ時価総額となっている仮想通貨、イーサリアムが、米時間21日に瞬時の急落に見舞われた。数百万ドルのイーサリアム売り・ドル買いの注文が発端となり、相場が3割近く下げ、損失拡大を防ぐための売り注文殺到などから一時的に1ETH/1.10ドル(約123円、下落率99.97%)で取引された。これにはネットワーク混雑による取引成立の遅れなど、システムによる要因も大きく影響したようだ。その後はひとまず落ち着きを取り戻しており、現在1ETH/3万円台前半で取引されている。
イーサリアムの今年に入ってからの値上がり率は4000%近くとなっており、時価総額首位のビットコインを追い抜く勢いで伸びてきている。3月にはシェア約90%だったビットコインが現在は5割弱に低下。一方、イーサリアムのシェアは4倍に拡大し、25%強に達している。技術的には、イーサリアムは仮想通貨の醍醐味でもある「スマートコントラクト(中央機関なしの契約自動執行)」において、定義が柔軟に行えるといった特徴がある。そうしたことから今後仮想通貨におけるシェア拡大や技術の応用に期待がもたれており、マイニング(採掘)事業者やテクノロジー企業などからの注目度も高い。最近ではジョン・マカフィー率いるMGTキャピタルが、イーサリアムのマイニング開始したほか、ロシアのプーチン大統領も支持を表明している。
投資家にとっては価格変動率が大きく短期間に大きく稼げる可能性のある魅力的な市場だ。仮想通貨市場全般でいえることだが、1日2日で価格が10~20%上下することもざらにあり、主に投機目的での購入者増加から、市場は急拡大を続けてきた。ただし、今回の一時的なフラッシュクラッシュのようにバブルがはじける可能性が常にあることも忘れてはならない。ビットコインをはじめとする仮想通貨では、規格の変更やシステムに発生するトラブルなどの不安定要素から、通貨が主流として受け入れられるかどうかの不安が強まっている。このため投資先仮想通貨の乗り換えや分散投資への切り替えも頻繁に行われており、市場ではイーサリアムのみならず、仮想通貨全体の相場動向が注目されている。(編集担当:久保田雄城)