国の中長期的なエネルギーの基本方針を示す「エネルギー基本計画」の見直しに向けた審議会「総合資源エネルギー調査会基本政策分科会」の初会合が9日開かれ、原発推進派の委員からは「原発再稼働が滞っている中、建て替えや新増設も議論すべき」など、原発促進への意見が出た。
審議会のメンバーは18人。この中には豊田正和日本エネルギー経済研究所理事長、増田 寛也野村総合研究所顧問、原発メーカーIHIの水元伸子常務執行役員調達企画本部長らはじめ、原発の建て替えや新増設に前向きな学者らが名を連ねている。メンバーに原発推進派が多いとの見方がある中、原発に対しては世論が大きく分かれる中で、国民の声を反映させた「エネルギー基本計画」の見直しが実現するのか、今後の議論が注視される。
エネルギー基本方針では、民主党政権時代にまとめられた「2030年代、原発再稼働ゼロ」を目指す方針が、自民党政権復活で日本経済団体連合会などの強い要請を背景に「原発は重要なベースロード電源」として生き残りが明記され、2030年の電源構成を「原子力が20~22%」「再生可能エネルギーが22~24%、石炭26%」などと決めている。
経済界や電力業界は原発再稼働の加速化に留まらず、エネルギー計画の見直しで、原発の新増設や建て替えを入れ込もうとしており、電源構成で原発を20~22%にするには新増設が必要との主張を強めることが予想されている。(編集担当:森高龍二)