ラーメンと並び2大国民食ともいわれ、老若男女問わず愛されているカレーだが、日本人は何故そんなにカレーが好きなのか。それには諸説あるが、ここでは一つの大きな要因として“香辛料”の存在に注目したい。その強みは「香味性」「辛味性」「香色性」を持つ多様なスパイスが混合し五感に働きかける刺激的な感覚と、多様な食材の良さを引き出す裾野の広さ・カスタマイズ性の高さである。簡単にアレンジできる手軽さや、調理上の柔軟性が日本人の気質に合ったともいえるだろう。
そんな中、ハウス食品<2810>は、カレーに動脈硬化予防で重要な役割を果たす血管内皮機能の改善 効果があることを、臨床試験により確認したと発表した。同社は研究を行っていく中で、血液の流れを良くし、血管を柔軟に保つことで動脈硬化を予防する血管内皮の機能に注目した。市販のカレーと各種食品12品目における抗酸化力を比較したところ、カレーが最も高い数値を示し、カレーの摂取により、酸化ストレスを除去して血管内皮機能を健全に保つ事が可能となる事が判明、食後の血糖値の上昇によって生じる酸化ストレスを抑える事で、食後の血管内皮機能低下が改善されることがわかった。
酸化ストレスとは活性酸素生成と消去系のバランスが崩れている状態を指し、「酸化ストレスが関与しない疾病はない」とされるほど、酸化ストレスは様々な疾病に関与しているといわれ、近年、特に動脈硬化性疾患に関連していることが注目されている。
実は、発祥の地インドには「カレー」という料理は存在せず“香辛料の集合体”として捉えられている。日本のカレーが好まれる理由はイギリス寄りの「欧風」だからという意見もあるが、カレーの本質は香辛料がもたらす効能の多さだ。発汗作用による新陳代謝の向上、食欲増進、胃腸の働きの回復、疲労回復など様々な効能に加え、各香辛料一つ一つに異なる効能を持つ。健胃・食欲増進効果や抗酸化作用など、その効用の豊富さや、免疫力が低下しがちな夏には美肌・疲労回復効果の高いリコピンが多く含まれるトマトを使った「夏カレーを食べよう」といった季節性や栄養価の高い食材を使える柔軟性からも、その需要が高いことがわかる。
慢性的な疲労や免疫力低下の完璧な予防は難しいが、インド・タイなどの熱帯地域で古来より蓄えられてきた暑さや夏バテに対抗する知識と経験の集約されたカレーが、亜熱帯化も囁かれる日本の夏の蒸し暑さを救う一つのきっかけとなるだろう。(編集担当:久保田雄城)