三菱重工<7011>が南アフリカの火力発電所建設で生じた損失負担割合について、日立製作所<6501>との仲裁を日本商事仲裁協会に申し立てたと発表した。
三菱重工と日立製作所は2014年に両社の火力発電システムを主体とする事業を、三菱重工の連結子会社(現、三菱日立パワーシステムズ)に事業統合し、現在は協業関係にある。今回懸案となっている南アフリカの火力発電所建設は、事業統合前の2007年に日立が受注した南アフリカでの火力発電所向けボイラ建設プロジェクトである。その後、両社の火力発電事業の統合により、南アフリカのプロジェクトも三菱日立パワーシステムズに譲渡されている。
南アフリカのプロジェクト譲渡の際に、三菱重工側も同プロジェクトからの損失発生は認識していたが、当初見積りの損失額を大幅に上回ることになり、その損失負担を巡り三菱日立パワーシステムズを子会社としている三菱重工と日立製作所の間で、かねてより対立が続いていた。尚、三菱日立パワーシステムズの出資比率は三菱重工65%、日立35%となっている。
今回、三菱重工が法的拘束力もあり訴訟より早期に結論が出る、日本商事仲裁協会に仲裁を申立てたことにより、南アの火力発電所を巡る両社の対立は新たなるステージ入りすることとなる。
日本を代表する重電メーカーであり、尚且つ提携以前の案件が原因とは言え、協業関係にある両社間の懸案が、日本商事仲裁協会の仲裁申立てにまで発展することは極めて異例の事態である。
三菱重工が日立製作所に請求の金額は約907ランド(約7743億円)と莫大な金額であり、両社いずれも経営に対する影響が大きいため、引くに引けない状況となっている。日本を代表する重電メーカーの対立が、最終的にどのような着地となるのか、今後注目を浴びることになりそうだ。(編集担当:久保田雄城)