今、日本の住宅市場において「今後も加速していくであろう人口減少問題に対して、どのように対応していくか」という大きな課題がある。
国立社会保障・人口問題研究所が実施している日本の世帯数の将来推計をみると、2015年以降、日本の世帯数は減少の道を辿ることが推測されている。世帯数が減少すれば当然、新築住宅の着工戸数にも影響が出る。住宅産業にとっては死活問題だ。かといって、住宅の性能を下げるわけにはいかないし、むしろ技術開発によって、住宅は長寿命化の傾向にある。さらに、人口減少によって空き家率も増加傾向にあることから、今後、新築住宅市場は厳しい時代を迎えることは避けられないだろう。
もちろん、住宅メーカー各社もこの状況に対応すべく、動き出している。
各社ともに、新築市場で他社との差別化を図り、シェアを獲得するためにマーケティングの強化に乗り出している。その一つのキーワードが「女性目線」「ママ目線」だ。
例えば、木造住宅大手の住友林業は、ファッションやインテリアを選ぶような感覚で、女性のセンスやこだわり、個性を叶える家づくりとして、専門スタッフを配備し、「konoka(このか)」というプロジェクトを推進している。
また、ミサワホームも、広く明るく快適な環境で子育てを楽しめる、キッズファミリーをターゲットにした「Familink ZERO」という商品を展開。ZEHの進化形として「子育てZEH」を提唱している。
アキュラホームは、「ママ・クチュールプロジェクト ~輝く女性を応援~」というプロジェクトに取り組んでいる。地域のママネットワークに所属する女性の意見や悩み、問題を解決した経緯などを集め、実際の商品開発にも反映されているという。女性の1日の家事時間は長いことや、産後の女性の悩みなど、今まで住宅業界が着目していなかった新しい切り口が期待できる。
人口減少問題や世帯数の減少は住宅業界にとって大きな課題であることには間違いないが、ユーザー目線で考えてみると、それだけメーカーが本気を出して商品開発に取り組んでいるということなので、価値の高い商品や、住みごこちのいい家が増えていくともとれる。快適な住宅を手に入れ、豊かな暮らしを送るためには、新築住宅の購入を考えている人にとっては、喜ばしい状況ともいえるかもしれない。(編集担当:藤原伊織)