居住用建築物市場規模は2017年度 525,000棟、2020年度490,000 棟の予測

2017年07月03日 08:30

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2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向けた建築物に対する特需や、2019年10月に8%から10%の消費税増税の実施予定は、今後の居住用・非居住用建築物市場に少なからず影響を与える要因と考えられる

 矢野経済研究所では、居住用建築物及び非居住用建築物の市場予測を実施した。

 2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向けた建築物に対する特需や、2019年10月に8%から10%の消費税増税の実施予定は、今後の居住用・非居住用建築物市場に少なからず影響を与える要因と考えられる。こうしたなか、本研究では過去における消費税増税後の建築物市場規模の推移、及びその他建築物市場に影響を与えると考えられる要因等を基に今後の居住用・非居住用建築物市場規模を予測した。

 2016 年度の居住用建築物市場規模は、前年度比 3.5%増の525,909 棟(建築着工ベース)となった。相続税法改正(2015年1月以降に適用)を背景に、節税対策として需要が高まる貸家の増加が居住用建築物市場を牽引した。居住用建築物市場は低金利環境の継続や根強い貸家需要を背景に引き続き堅調に推移し、2017年度は前年度比横ばいの525,000棟を予測する。

 しかしながら、中期的には、人口・世帯数の減少といった構造的な問題に加え、地価・建設コストの上昇により販売価格が高止まりする新築住宅に代替する中古住宅流通市場の拡大、及び2019年10月に実施予定の消費税増税前の駆け込み需要とその反動減が想定されることから、2020年度は前年度比3.0%減の490,000棟を予測する。

 一方、非居住用建築物の2016年度の市場規模は、前年度比2.7%増の 51,334 ,000m2(建築着工ベース)となった。今後も高水準で推移する企業の好業績等を背景に設備投資の増加が見込まれること、また東京オリンピック・パラリンピック需要等による都心再開発や、訪日外国人客の増加を見込んだホテルなどの建築物需要等から、2017年度は前年度比 4.2%増の 53,500,000m2を予測する。

 2018 年度以降も堅調に推移するものとみるが、東京オリンピック・パラリンピック需要については建築着工ベースでは 2018年頃を境に減少し、2020年度は前年度比 0.2%減の52,500,000m2と予測している。(編集担当:慶尾六郎)