8日に働き方改革の法案要綱諮問をと指示

2017年09月05日 18:03

 研究開発業務やアナリスト業務、コンサル業務など『対象業務を省令で定め』、書面による合意のもと、職務の範囲を明確にしたうえで「1年間に支払われると見込まれる賃金額が『平均給与額』の3倍を相当程度上回ること」を水準として省令で定める額以上の労働者を対象に導入が検討されている「高度プロフェッショナル制度」について、4日開かれた厚労省労働政策審議会労働条件分科会で、荒木尚志分科会長が事務局に対し、この間の議論経過と労働者側委員から出された懸念点を踏まえ、8日の分科会に法案要綱を諮問するように指示した。

 厚労省は高度プロフェッショナル制度については、一時、連合の神津里季生委員長が安倍晋三総理に申し入れた(1)年間104日以上の休日取得の義務化(2)裁量労働制を営業職全般に拡大しないなどの規定の盛り込みについて、これを取り入れ、労働側の理解を得たい考えだ。

 しかし、その後、連合組織の労組から制度そのものに反対するべきとの姿勢が強く示され、現在、連合は「企画業務型裁量労働制の対象業務拡大」や「高度プロフェッショナル制度の創設」に反対姿勢を強くしている。

 8月25日の記者会見で神津会長は「高度プロフェッショナル制度については入れる必要ないというのは一貫した考え」とした。

こうした中で、安倍晋三総理要請したことについては「要請した際も制度として必要ないということは明言している。ただ、今の一強政治で労働者派遣法の審議においても本来されるべき修正は一顧だにされない、あるいは足元の安保法制にしても、共謀罪にしても、本来修正されるべきことが合意形成をするという政治になっていない」と指摘。

 神津会長は「国会審議で然るべき修正が図られるという事があてにできるのであれば、要請の必要はなかったかもしれないが、それが残念ながら見込めない中で最善策を取るべきだということで要請した」とし、安倍一強の中で労働者派遣法、安保法制、共謀罪などをみても国会審議が政府・与党の思い通りで、修正できていないことから、やむを得ずとった措置だと強調した。(編集担当:森高龍二)