政府、ミサイル「日本領域に侵入」と当初誤発表

2017年09月16日 08:44

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北朝鮮が太平洋に向けて発射した弾道ミサイルが「午前7時4分頃、『日本の領域に侵入』し、午前7時6分頃、『領域から出て』、午前7時16分頃、襟裳岬の東およそ2000キロに落下した」という内容で、政府の誤った発表を受けてのとんでもない「誤報」になった。

 石破茂元防衛大臣の15日のブログで、政府がとんでもないミスを当初に行っていたことが分かった。NHKはニュースでそのミスをそのまま、政府発表として流していた。内容は15日朝、北朝鮮が太平洋に向けて発射した弾道ミサイルが「午前7時4分頃、『日本の領域に侵入』し、午前7時6分頃、『領域から出て』、午前7時16分頃、襟裳岬の東およそ2000キロに落下した」という内容で、政府の誤った発表を受けてのとんでもない「誤報」になった。

 ミサイルは北海道の上空を飛翔したが、高度は前回(550キロ)より高い770キロ、宇宙空間にあり、領空(高度100キロ以下)ではない。石破元防衛大臣は政府発表として報じられたNHKの報道に「領域とは領土・領海・領空の総称であるため、高度500キロ以下を飛翔したのかと思っていたら、その後の発表ではこれをはるかに上回る高度であったようで、我が国の国家主権の及ぶ領域も領空も侵犯はされていないはず」と重大ミスを指摘した。

 石破元防衛大臣は「国家主権が侵犯されたか否かでその意味は全く異なる。どうしてこのように基本的なことがあやふやのまま発表がなされたのか。本日の自民党の会議で政府はその誤りを認めたが、情報を伝えた防衛省も、受け取った内閣官房も『領域』ではないことに全く気付かないままに発信してしまったのか。南スーダンの『戦闘』という日報の表現を巡って大混乱に陥ったことに対する反省が活かされていないのではないか」と苦言を呈した。

 まさに、ミサイルが宇宙空間でなく、領空侵犯しているのであれば、撃ち落とす危険もあり、北朝鮮への攻撃と受け取られかねない事態になっていた可能性もある。

 合わせて、やみくもにJアラートを使用するのには疑問がある。Jアラートが鳴り「北朝鮮からミサイルが発射された模様です。建物の中、又は地下に避難してください」などとアナウンスが流れれば、国民にミサイル警報のような恐怖を煽るだけ。防衛費拡大や憲法9条改正機運を醸成するために北朝鮮のミサイル発射を悪用しているのではとの見方さえでるなど、政府への不信感にもつながっていきそう。

 石破元防衛大臣は「政府は午前7時にJアラートを通じて北海道、青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島、茨城、栃木、群馬、新潟、長野の道県に警報を伝え、当該道県では『北朝鮮からミサイルが発射された模様です。建物の中、又は地下に避難してください』というアナウンスが流れたとのことですが、『この時点では、すでに着弾地点は把握できているはず』。『着弾はしないが、デブリ(破片)が落ちる可能性がある』ということだったのでしょうか。それはどのような根拠によってその範囲を特定したのでしょうか」と政府対応に大きな疑問を投げている。石破氏のみでなく、国民の多くが同じ疑問を感じている。

 石破元防衛大臣は「このようなことを繰り返していると、やがて国民の政府に対する信頼が失われることになるのではないかと強く危惧します」と警告しているが、すでに、信頼より不信が生まれつつある。より迅速、正確な情報提供が必要だ。着弾地点が分かっていたなら、むやみにアナウンスは避けるか、正確な情報を交えて「破片等の落下の可能性があるため、建物の中へ入ってください」程度のアナウンスで済ませるのが常識だ。(編集担当:森高龍二)