財務省は6日、9月上中旬の「貿易統計速報」を公表した。速報によれば9月上中旬(1~20日)の輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支額は3372億円の黒字であった。上中旬での貿易収支の黒字は4ヵ月連続となる。
この収支の黒字は鉄鋼や輸送用機械、半導体関連機械、電気機器などの輸出額が伸びたことが大きく寄与したとしている。収支の内訳を見ると9月上中旬の輸出額は4兆3158.63億円で、輸入額は3兆9786.47億円、差し引きプラス3372億円の黒字となった。前年16年9月上中旬の輸出は3兆7601.18億円、一方、輸入は3兆4722.46億円で差し引きはプラス2878.72億円となり、輸出額と輸入額のこの1年間の伸びはそれぞれ14.8%、14.6%となり、黒字額の伸び率は17.1%であった。
黒字に寄与している製品や地域を8月分の確報でみると、輸出では鉄鋼、自動車、半導体等電子部品、自動車の部品、半導体関連機械の輸出が大きく寄与している。一方、輸入では石炭、液化天然ガス、原粗油などの寄与度が高くなっている。輸出先の伸び率を地域別に見ると、北米が22.9%と最も高く、次いでアジアの19.9%、西欧の17.4%となっており、欧米、アジア経済の回復傾向が輸出の伸びに大きく寄与していることがわかる。製品別にみるとその構成比は輸送用機械が21.6%と最も多く、次いで一般機械の19.7%、続いて電気機器の18.3%の順である。同伸び率を見ると一般機械が18.5%と高くなっており、次いで電気機器16.9%、輸送用機械の13.9%の順である。
この4ヵ月連続の貿易収支黒字は輸出額の伸びが寄与しているものであるが、この輸出額の伸びについては円安傾向の影響も多少あるものの、欧米アジア等の海外経済の回復傾向による実需に基づく底堅いものであると思われる。構成比、伸び率ともIT関連、電子機械および部品の値が高くなっており、また構成比、伸び率ともに輸送用機械、中でも自動車(特に乗用車)が引き続き大きな数字を示していて、日本産業がハイテク貿易立国としての地位を取り戻しつつある兆候であるとも言える。(編集担当:久保田雄城)