防衛費は必要な装備積上げの結果と際限ない危険

2017年11月08日 08:06

 小野寺五典防衛大臣は7日の記者会見で、防衛費について、防衛のための必要最小限の装備を備えるとする専守防衛、防衛費拡大抑止の観点から「GDP1%枠内」を目安に努力してきた過去の政府の取り組みについて「防衛装備というのは予算に余裕があるとか、お金があるとかそういうことを前提に充実させていくものではない」と枠にとらわれない、いわば、防衛に必要な装備は積上げていき、その結果として防衛費が定まるような立ち位置をみせた。

 このような認識は防衛費拡大を限りなく許容させる危険があり、安倍晋三総理が今年に語った「GDPとリンクさせる考えは適切でない」との発想とまったく同方向。

 小野寺大臣はトランプ大統領が米国から大量の防衛装備品を購入するよう、日米首脳共同記者会見で求めたことの受け止めについても「自衛隊の装備品については防衛計画の大綱及び中期防に基づいて、わが国の防衛を全うするために必要不可欠なものとして、米国製装備品を含め計画的に取得している。今後とも着実に防衛力を整備していきたい」と述べた。

 また「わが国を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中、わが国の防衛力の質と量を十分かつ必要な状況に整備することは必要不可欠なことだと思っている」と質量ともに拡充させる必要があるとの認識を示した。

 小野寺大臣は「高い能力を有する最新鋭の装備品を導入することは、わが国の防衛力を強化するために非常に重要と考えている」とし「F35Aステルス戦闘機やSM3ブロックⅡA迎撃ミサイルをはじめとする多くの米国製装備品の取得を現在行う状況が継続している」と述べた。

 しかし、安倍政権になって防衛費は5年連続増加し、来年度も今年度当初予算比で1300億円増、率にして2.5%増加。概算要求額は5兆2551億円と4年連続し過去最大規模を更新している。

 小野寺大臣の発想からは、最新鋭の防衛装備を進めるために、2019年度以降も防衛費が伸び続ける危険がある。過度な防衛装備は攻撃想定国の過度な軍拡を助長し、結果的に軍拡路線にはまる危険があり、その分のエネルギーを外交に回すことで安全を確保する、歴代政府が取り組んできた努力こそが求められている。(編集担当:森高龍二)