ダンボール業界が現在、苦境に立たされている。その背景にあるのが原材料費と燃料費の上昇である。ダンボールの原料となるのは主に古紙だが、その原材料費が値上がりしたことに加えて、ダンボールを製造するためのガスや重油といった燃料費についても値上がりしている。そのため、ダンボールメーカー各社ではコストの見直しを迫られており、メーカーによってはダンボールそのものの値上げに踏み切ったところも少なくない。
それに加えてダンボールメーカーにとって痛手となっているのが運送費の値上げである。ダンボールメーカーが製造したダンボールは販売先の会社などへ配送されるが、その際の運送費が値上げしたことから、さらなるコスト増につながっているというわけだ。つまり、ダンボールメーカーにとっては原材料費と燃料費の上昇に加えて運送費も上がったことから、まさしく「三重苦」ともいえる状態に陥っている。
運送費の値上げが行われた背景にあるもの、それはここ数年の通信販売のニーズ増加にある。インターネット通販の利用者拡大に伴い、運送業全体に対してのニーズも増加、結果的に商品を運ぶための人材確保も難しくなった。さらに時間指定などより細かいサービスを要求されるようになったことから、運送会社に対する負担も大きくなり、運送費の値上げにつながったという。
ダンボール製造大手のレンゴー<3941>は、こうした製造コストの上昇を受けてダンボール価格の値上げを表明している。レンゴー<3941>によると原材料費や燃料費などといったコストのうち運送費の値上げから利益が縮小しており、その分の転嫁として値上げの交渉を販売先に進めているという。ダンボールを製造するメーカーは中小企業を中心に国内におよそ2000社ほどあり、他社との差別化も難しい商品である。そのため、価格競争が起こりやすい商品であるともいえる。ダンボールは様々な業界で欠かせない存在であるだけに、コストが上がってもすぐに値上げすることも難しいといえるだろう。
こうした状況を受け、業界団体である全国ダンボール工業組合連合会は労働環境の改善を求める文書を発表、ダンボールの発注方法を見直す等の要請を関係各社に行っている。インターネットの通販をはじめ、ダンボールは様々な分野・業界で利用されていることから多くの部分で影響が出てくることは必至である。ダンボールが適正価格で運用できるためには様々な部分での協力が欠かせない。(編集担当:久保田雄城)