13日、総務省は地方消費税の配分基準について検討会を開き、地方消費税の配分基準についてこれまでの最終消費地重視の配分基準から年少・高齢人口比も考慮した人口比のウエイトをより高めた配分基準に見直す方針を明らかにした。
消費税の税率は一般的に8%と言われているが、正確には国の税収となる部分は6.3%で残り1.7%は地方の収入として一定の基準で調整されたうえで都道府県に配分され、内2分の1が区市町村に再配分される。すなわち消費税収入の内、21.25%が地方の税収となる。地方消費税とはこの地方に配分される部分を指す。
消費税の納税は事業所が住所を有する管轄の税務署に行われるため、実際に消費が行われた消費地と納税地の都道府県は必ずしも一致しない。そこで、これまでは主に小売販売額等の消費に関連する統計にウエイトをおき最終消費地の推定が行われ都道府県への配分が行われてきた。
現行の配分基準では消費関連指標でのウエイトが75%、人口比でのウエイトが17.5%、従業員数でのウエイトが7.5%となっている。この現行基準では東京、大阪、愛知などの大都市部に最終消費地が集中し、配分額も大都市部ほど大きくなる。消費税は社会保障を目的に導入された税制度であるが、現行の配分基準では社会保障の対象となる年少人口や老齢人口は考慮されていない。また商業施設が豊富な大都市近郊の自治体では自治体を超えて大都市部で消費することが多く、納税者の居住地と最終消費地が一致しないケースが多いと考えられる。現行の基準では都市部と地方の格差をむしろ助長するという批判もあった。
そこで、検討会は配分基準の中の消費指標のウエイトを下げ、年少・高齢人口にも配慮した人口比のウエイトを上げて、従業員数については廃止するという方針を打ち出した。消費と人口比のウエイトは5割強と5割弱程度というのが現段階での見込みだが、この方針の中には全て人口比のみで配分するという選択肢も含まれている。
この基準改定が行われれば大都市部の減収は必至で、既に強い反発の声が上がっている。東京都と大阪府、愛知県は共同で「大都市から税収を収奪することを意図した不合理なものだ」と批判したうえで、野田総務相に対し改定を行わないよう要請した。今後は消費指標と人口比のウエイトの比率をどの程度にするかが議論の中心になりそうだ。(編集担当:久保田雄城)