問題点の解消ない労基法改正の国会提出には反対

2017年11月26日 06:48

 日本弁護士連合会は政府が働き方改革を進めるとして国会に提出を予定する「労働基準法改正案は長時間労働の歯止めとしては極めて不十分。一方で、企画業務型裁量労働制の拡大や高度プロフェッショナル制度の創設等により長時間労働を助長しかねない内容を含む」ことから、このままの内容のものは提出すべきではない、と現行のままでは反対とする会長声明を24日までに出した。

 声明では問題点として「労働基準法の改正案の考え方(働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱)によると、時間外労働の上限規制を設けるとしているものの、例外として許容される時間外労働の限度時間は、厚生労働省が過労死の認定基準として定める時間外労働時間数(いわゆる過労死ライン)に匹敵する時間数で、過労死ラインまでの時間外労働を許容することになりかねない。また、自動車運転業務従事者、建設業務従事者及び医師について規制を5年間猶予した上で規制内容を緩和している。この点も問題」と指摘している。

 また、企画業務型裁量労働制の拡大、特定高度専門業務・成果型労働制(高度プロフェッショナル制度)の創設を含んでいることでも、特に高度プロフェッショナル制度については「労働者の命と健康の確保の視点からして、年収の多寡によって労働時間の規制緩和が認められることは不合理。適用対象者が拡大することへの実効的な歯止めもないなど、問題が大きい」と提起した。(編集担当:森高龍二)