スマホの普及に伴い、パソコンの需要はかつてと比べ低下傾向にある。パソコンがなくてもスマホがあればある程度のことはできるようになっているし、これまでパソコンが担っていたこともスマホにまかせられるようになった。今でも家電量販店ではパソコン専門コーナーでパソコンは存在感を放っていおるが、それでも往時に比べるとやはりニーズが低下しているという見方が強い。そんな中、あるジャンルのパソコンは根強い人気を誇っている。それが「ゲーミングPC」である。
ゲーミングPCとは、その名の通りゲームをすることに特化したPCであり、他のPCとは少し趣が異なる。具体的には、描画性能を高めるためにグラフィックボードを搭載したり、専用ビデオメモリを増設したりと、画面の計算速度を向上させているものがほとんどだ。そのかわり、一般的なPCにはインストールされている文書作成ソフトや表計算ソフトといったものが入っておらず、ある性能に特化させることを目的として開発されている。それだけにゲーミングPCは一般的なPCとは特殊な構成となることが多く、金額的に割高であり20万円を超えるマシンも珍しくないという。
こうしたゲーミングPCは、電器店などで専用の売り場が設けられたり、各PCメーカーも専用商品を開発したりと各社ともに販売に力を入れている。割高であっても、一定の層からのニーズがあることがわかっている商品である、という点が大きな要因だろう。それに加えてモニターやマウス、キャプチャ機器などの周辺機器についてもニーズが高まっており、PCとセットで購入する人も多い。ゲーム大国といわれる日本だからこそ、ゲームのプレイに特化した商品に対するニーズも高まっている。スマホが普及したとはいえ高速な処理や緻密なグラフィックの描画にはやはりゲーミングPCには劣るというのが一般的な意見である。
また、ゲーミングPCはただ単にゲームのプレイだけでなく、3DのモデリングやCADソフトにもその性能を応用することができる。設計事務所などで使われるCADは3Dが標準となっているため、こうした現場では家電量販店で販売されているようなPCよりもゲーミングPCを選ぶ人が多い。周辺機器も含めたゲーミングPCの市場はここ数年で順調な成長率となっており、様々な業界でニーズが高まっていることがわかる。パソコンにとってかわる勢いのスマホではあるが、ある特定のジャンルにおいてはまだまだスマホの出番はなさそうだ。(編集担当:久保田雄城)