テレワークの拡大と直接勤務形態の間

2017年11月12日 16:13

画・テレワークの拡大と直接勤務形態の間

自宅など好きな場所で仕事ができるテレワークは、情報通信技術の進歩によって今後さらに拡大していく可能性がある。育児や介護などで通勤することが難しい人も仕事ができるため、生産性の向上や混雑緩和などの面で期待されている。

 「テレワーク」とは、職場以外の場所で働く勤務形態のことである。こうしたテレワークを可能としているのが、情報通信技術だ。スマホやパソコンの高性能化と普及によって、必ずしもオフィスまで足を運ぶことなく仕事ができるようになった。オフィスにいなくてもすぐに連絡をとることができ、必要な情報やデータも受け取ることができるという技術の進歩があったからこそ可能となった働き方だろう。

 そんなテレワークについて、東京都や神奈川県では対象者をさらに拡大する動きが見受けられる。こうした動きが主に東京で活発化しているのは、2020年の東京オリンピックの時の混雑緩和が大きく関係しているといえる。オフィスまで通勤しなくとも仕事ができるテレワークが拡大すれば。それだけ物理的な移動も少なくなるという考え方である。また、遠いオフィスまで通勤する必要がないテレワークも実際に働く層からは歓迎する声も多い。

 たとえば家族の介護や小さな子供の育児の必要がある人については、テレワークはかなり魅力的な働き方だろう。これまで休職や時短勤務などで対応してきたようなこれらのケースであっても、テレワークなら無理なく仕事を進めることができるようになる。そのうえ給与水準についても大幅に下がることもないということであれば、ぜひ利用したいと考える人も多いはずである。自宅に居ながらにして仕事ができるということなので、従業員にとっては積極的に利用したい制度なのだ。

 もちろんテレワークという働き方がどんな業種であっても無理なくマッチングができるかといえば現状ではそうではない。テレワークが普及しているのは情報通信業や金融業などのように、現場に足を運ぶ必要が少ない業種がほとんどだ。その反面、建設業や飲食業などは仕事をする場所が決まっているため、テレワークとしての働き方は難しいかもしれない。また、テレワークという働き方そのものについても家庭と仕事の線引きが曖昧となってしまい、かえって生産性が下がるといった意見もある。このように、テレワークという働き方についてもまだまだ課題が多いのが現状だ。

 それでもこうした課題については今後の情報通信技術の進歩によってある程度はクリアできるのではないかとの見方が強い。テレワークの利用者が増えれば、それだけケーススタディも増えていくということで、より課題解決につながっていく可能性もある。まだテレワークという働き方は始まったばかりであり、より多くの企業へと拡大していくことが期待されている。(編集担当:久保田雄城)