改定案に目立つ愛国心、道徳、領土、歴史教育

2018年02月18日 13:51

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文部科学省は2022年度から実施する「高校学習指導要領改定案」を14日公表した

 文部科学省は2022年度から実施する「高校学習指導要領改定案」を14日公表した。文科省HPで全文みることができる。改定案に対する文科省への意見受付は3月15日まで。文科省はその後、公募で寄せられた意見も踏まえ3月末までに「次期指導要領」を告示、2022年度から順次実施していく。

 今回改定案で目を引くのは、日本と世界の近現代史を合わせて学ぶ『歴史総合』や主権者教育を含む『公共』など。中でも教育目標に『我が国の国土や歴史への愛情』など『愛国心』育成教育や日本が実効支配している尖閣、韓国が実効支配している竹島など、領土に関して日本政府の見解をそのまま教え込む、いわば「自国の立場優先指導」を教諭にさせる傾向、返って現実的な相互理解を阻害する危険もはらんでいると筆者は感じる。

 教諭は「歴史総合」の指導要領案にある、子どもたちが『客観的かつ公正な資料に基づき、多面的に考察し、公正に判断する能力を』修得できるように、特に努めなければならない。

 領土教育や歴史教育、愛国心育成、道徳教育がやたら目を引く内容になっているのだが、領土の扱いでは、北方領土に加え、「竹島」「尖閣」は「我が国固有の領土」と明記。一方で、韓国や中国がどのような資料に基づき「我が国の領土」と主張しているのかについても客観的かつ公正な資料にもとづき検証できるようにしなければならないことはいうまでもない。教諭に相当な知識と能力が求められる。

 合わせて、今回、「各学校に『道徳教育推進教師』を配置する」ことも規定された。安倍政権で強まる右傾化や教育への政治介入の危険につながらないか懸念は払拭できない。

 時の政権に左右されることなく、中立・公正な教育が担保できるよう、指導要領案を保護者の方は徹底検証して頂くことを願う。

 道徳教育推進教師の活動が、安倍政権がめざす「国旗掲揚」「君が代斉唱」の強制(国民の義務化)や国旗国歌法を超え「憲法への規定」実現、「天皇の国家元首」への既定化への道筋に使われることがないよう、政治利用の道は閉ざしておくことが必要だ。

 自治体によっては条例で教職員に学校行事での国歌斉唱は起立により斉唱すると規定し、教職員の服務規定として条例により強制を図るところもあるが、高校生にまで強制することがあってはならない。自主性に任せるべきだ。

 国旗国歌法制定時の時の総理は「強制しようとするものではない」と国会答弁し、天皇陛下も園遊会で「強制になるということではないことが望ましい」と強制化に懸念される配慮を示されている。
 
 また、以前のコラムでも書いたが「天皇」は「国民の象徴」であり「それ以下でも、それ以上でもあってはならない」存在であることを忘れてはならない。自民党は天皇を「日本国の元首」と規定し「日の丸や君が代の尊重を義務付けたい」考えだ。そのための土壌づくりに教育現場が利用されることがないよう、学習指導要領は最高法規の憲法を反映するものでなければならない。(編集担当:森高龍二)