日本から輸出される農林水産物には加工食品をはじめ様々なものがある。そんな日本から輸出された農林水産物や食品が2017年の実績として8073億円にのぼることが農林水産省の発表でわかった。この金額は過去最高の輸出額となっているとともに、農林水産物や食品の輸出において初めて8000億円を超えた結果となった。また、この分野における輸出額については5年連続で過去最高を更新し続けており、順調な推移を見せている。
日本から輸出される農林水産物や食品を実際に輸入している国には中国や台湾、韓国に加えてアメリカが上位取引国となっている。これらの国々は日本とも長い貿易の実績があることに加えて経済が安定した成長を見せていることから日本からの輸入も増えているとみられている。また、世界的に日本食ブームが広がっているという点も日本からの輸出額が拡大しているということに大きな関係がある。加えて円安のため日本からの輸出品を受け入れやすい環境が整ったという点も見逃せない。
品目ごとに見た場合、牛肉や緑茶、日本酒といった項目の輸出額が伸びている。牛肉は41.4%増の192億円、緑茶が24.3%増の144億円、日本酒が19.9%増の187億円となっており、いずれも昨年度の輸出額よりも増えていることがわかる。この他、米についても18.1%増の32億円と、こちらも堅調だ。その反面、輸出額が伸び悩んだ輸出品もある。ホタテは以前から輸出品の中でも主力とされてきたものだったが、天候被害の影響もあり17.7%減の557億円、同様にリンゴについても17.7%減の109億円にとどまった。
このように、日本から輸出される農林水産物は過去最高の実績となっているものの、日本政府は「2019年に1兆円」という目標を掲げている。そのため、8000億円という結果になったとはいえ、目標値に対してはなお開きがあるということになる。順調に推移しているとはいえ、2000億円ものギャップを埋めることは容易なことではない。この目標を達成するためには日本側の努力だけでなく、輸出品を受け入れる各国の対応も欠かせないためだ。たとえば欧州連合では、日本との経済連携協定に合意したものの、検疫制度の関係から豚肉や鶏肉、鶏卵などを持ち込むことができず、東アジア諸国でも福島の原発事故の後に設定した輸入規制が現在も続いている。こうした規制緩和や解禁に向けての手続きがスムーズに行うことができるかどうか、この点も輸出額の目標達成に向けての重要なポイントとなる。(編集担当:久保田雄城)