安倍晋三総理が働き方改革関連法案から国民の疑惑や懸念を招いている『裁量労働制』の部分を切り離し、議論を進める考えを示した。安倍総理は28日夜「厚生労働省で裁量労働の実態を把握した上で議論をし直すようにした」と述べた。
厚労省調査のデタラメデータをベースに裁量労働の対象拡大が議論されてきた経緯から、立憲民主党など野党は「働き方改革関連法案から裁量労働、高度プロフェッショナル制度は削除すべき」と政府に強く求めていた。
また、この日の衆院予算委員会で安倍総理は立憲民主党の逢坂誠二議員の質問に答え「裁量労働制改正に関して国民のみなさんに疑念を抱かせることになったことは誠に遺憾」と述べ「ここをきっちり実態把握しない限り、政府全体として前へ進めないという気持ちだ」と答えていた。
安倍総理は「実態把握の方法については厚労大臣を中心に検討していきたい」と述べ、実態把握について「相応の時間を要すると思う」とも答えていた。
加藤勝信厚労大臣も、27日の記者会見で「本来比べるべきではないデータを比べてお示しし、その結果、国会、国民の皆様にご迷惑をおかけしたことに対してお詫びを申し上げるとともに、しっかりと反省をしていかなければいけないと思っている」と述べ、28日の衆院予算委員会では総理答弁を受けて「実態把握のための具体的方法はこれから検討する。厚労省でしっかり(実態把握の方法を)検討していきたい」と答えていた。
働き方改革では「同一労働同一賃金」「非正規労働者の正社員化」「長時間労働の解消」など待遇面を含め働く側の視点で早期に実現すべき課題が山積しており、裁量労働制拡大や高度プロフェッショナル制度創設を除いた法案を求める声は多い。総理の判断を評価する声もある。(編集担当:森高龍二)